〇≠無の証明Ⅳ－４ (ページ17)

今日:30 hit、昨日:11 hit、合計:578,148 hit

少年と母ページ17

「相手が人なら遭遇したら闘わなきゃ……」
相葉さんが不安そうに言う。

「霊なら大野さんいるから……」
二宮さんが大野さんの後ろに隠れようとしてる。

「一応ニノも斬る準備しといて……生身の人間でも吹っ飛ばせるし……」
櫻井さんがオロオロしながら言った。

「とりあえず、皆で固まろう、誰も一人になっちゃダメだよ」
大野さんがそう言う。

「とりあえず、ここから出よ？」
私の言葉に皆が頷いた。

「一階の……非常口の方に行ってみよう」
櫻井さんが歩き出す。
みんなへっぴり腰なんだけど、大野さんだけスタスタ歩いていく。

一階の非常口まで来てドアを開けようとしたら、外から何かつっかえてるのか、開かなくなってる。
ガタガタやっててもピクリとも動かない。

「多分外から鉄板みたいなのを噛ましてて開かないようにしてるみたい」
大野さんが平然とそう言った。

「ゼッテー俺ら人を相手にしてるだろ！こんなこと霊ができるわけねーじゃん！」
櫻井さんが怒った。

「そうだね」

「二階の出入り口から出ようか」
大野さんが行きかける。

「待って！」
二宮さんが止める。

「ん？」
「階段」

二宮さんが鋭く目を上げた。
「カラビナ付きの鎌が飛んでくる可能性考えないと」
「それに材木が降ってくるかもしれない」
櫻井さんも続けて言う。

「あとはガラス……は大丈夫かな、あの窓のガラスはもう無いよね」
松本さんが目を上げる。

「でも上から何か落とされたら……」
私の言葉にみんなが頷く。

「じゃあどうやって昇るのよー？」
相葉さんが困ったなぁ、って感じで頭をワシワシした。

「相手が思いもしないトリッキーな昇り方しないと……」
櫻井さんがポツリと言う。

「トリッキー？どんな？」
大野さんが首を傾げる。

「階段を昇らない、とか」
「例えば？」
「手すりでよじ登る、とか……」
「ん」

大野さんが小さい懐中電灯を咥えた。
よいしょ、といいながら手すりの上に登る。

「え、大丈夫？」

「俺援護する？」
相葉さんが追いかける。

するするする、と半分まで進んで、ふっと目を上げる。懐中電灯でじっと周りを見てる。

「ここにテグス……、このテグスに引っかかったら……」
大野さんが目を上げた。

「このテグスあの窓に繋がってる、５段目気をつけて」
相葉さんが懐中電灯て照らしてそう言った。

「よいしょ」

大野さんがひょい、と何かを跨ぐ。
テグスが手すりに繋がってるんだ。