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はっきりと「いつから」というのが自分でも分からなかったから散々話を聞いてもらった癖に黙っていた俺が悪いのだけど、Aちゃんが俺が今でもチアキの事が好きだと思っていたことに内心で頭を抱えた。だからこの間、俺がチアキのことを頼んだ時にあんなしんどそうな顔をしてたんだと思い当たる。きっとAちゃんは俺がまだチアキのことが好きだと思って心配してくれていたのだ。
「Aちゃんのおかげだよ」
その言葉に少しだって嘘はなかった。Aちゃんはというと、よほどチアキのことが意外だったのかかなり戸惑っている様子だった。
「私、何かしたっけ」
「うん。いっぱいしてもらった」
「話聞いただけだよ」
「そうかもしんないけど"だけ"じゃないよ」
多分Aちゃんには謙遜しているつもりすらないんだと思う。”よりそってもらってる"って実感がどれだけ相手の心を軽くするかに無自覚で、ぱっと見は警戒心が強そうのに話していると随分と無防備に見える瞬間があった。
一度逸らされた顔が再びゆっくりとこちらに向けられた。その表情を見て息を呑む。少し赤らんだ頬と何かを訴えるみたいに自分に真っすぐに向けられて眼差しに、自分の心臓の音しか聞こえなくなるような感覚に陥る。
「Aちゃん、」
愛おしさが零れて、思わず名前を呼んだ。身体を前に傾けた拍子に指先同士が触れ合う。それを、振り払われなかったのをいいことに、Aちゃんの手に自分の手を重ねた。Aちゃんの身体が跳ねて瞳がゆらいだ。だけどその瞳を見つめていると、拒絶されてる風には感じなくて、むしろ受け入れてもらったようなそんな気がして。
俺の手が熱いからだろうか、ふれあった瞬間のAちゃんの手はひんやりと感じられた。だけど徐々に互いの体温が混ざり合って、触れ合っている場所の境界線が曖昧になっていく感覚に頭の芯がびりびりと痺れる。
「俺、」
——Aちゃんが、
口が勝手に動いて致命的な何を言葉にしようとした時、図ったかのようなタイミングでスマホからお馴染みの音が流れた。
それでお互い我に返って、Aちゃんは逃げるようにして俺の部屋を後にした。
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25-3→←25-1: who still cares for her
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作者名：夕色 | 作成日時：2024年3月28日 18時
