今日:51 hit、昨日:146 hit、合計:17,380 hit
小｜中｜大
25-1: who still cares for her ページ6
まだかまだかとそわそわしていた俺はインターホンが鳴った瞬間に熱のことを忘れたように飛び起きた。平静を装ってドアを開けると、そこにはAちゃんの姿があった。目と目が合ってAちゃんがはにかんだ瞬間になんだかほっとして身体の力が抜けるような感覚がった。その所為だろうか、話している最中に急にふらっとしててよろけてしまう。
意図せず身体が密着して、いつもAちゃんのつけているヘアオイルの爽やかで甘い香りが鼻を掠めた。一瞬頭が真っ白になる。
——っ、だめだ！
身体が勝手に動いて、Aちゃんの身体に腕を回して抱き締めそうになるのをすんでの所で堪えた。我に返って慌てて身体を離すとAちゃんの様子を確かめる。
「ごめ！大丈夫！？」
「大丈夫。慎太郎君の方こそ大丈夫？」
Aちゃんは驚いた顔をしていたけれど、俺が以前に一度だけさせてしまった怯えるような顔はしていなかった。そのことに心から安堵する。むしろ俺のことを心配そうに見つめる瞳に胸のあたりがぎゅっとなった。
——Aちゃんが嫌がることはしたくない。
嫌われるようなこともしたくない。困らせたい訳でもない。
「もうちょっと一緒にいたい」
だけど気付いた時にはそう口走っていた。
/
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夕色 | 作成日時：2024年3月28日 18時
