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「冷凍庫に入ってたアイスおいしいよね、私も好き」
そんな自分を誤魔化すように話題をふると、慎太郎君が閉じていた目をぱちりと開けて嬉しそうな顔をこちらに向けた。
「やっぱり。コンビニで見かけた時Aちゃんが好きそうだなって思って買ったんだよね」
「えっ？」
「食べてく？」
慎太郎君の言葉に戸惑っている間にそんな質問が飛んできたから私は慌て否定した。
「そういうつもりで言った訳じゃないから！」
でも確かにそういう風に聞こえたかもしれない。そう思うと恥ずかしさで顔が赤くなる。
「そんなの解ってるって」
そんな私を見て慎太郎君がくすくすと笑った。
「色々してもらって助かったから、そのお礼ってゆーか、アイス一つじゃ全然足りないけどさ」
「お礼とか、気にしなくていいのに。いつも私の方が沢山慎太郎君に助けてもらってるし」
「Aちゃんが良くても、俺が良くないの。って、言う割にこの間チアキの時のお礼もまだ出来てないよね、俺。今度まとめて絶対するから」
「——っ、」
慎太郎君の口から突然発せられたチアキの名前に私は固まる。慎太郎君を心配するだけでなく、無意識の内に浮かれていた自分に急激な恥ずかしさを覚えた。
「Aちゃん？」
「ごめっ……！」
急に黙り込んだ私を不信に思った慎太郎君が名前を呼ぶ。だけど、動揺している私は禄な返事ができず、そんな私を見て慎太郎君が驚いたような顔をした。
「……もしかして、俺とチアキのこと、気にしてくれてる？」
「えっと、その」
少しの間考えるような表情をした後で慎太郎君が核心を突く問いを投げかけた。それに私は「はい」とも「いいえ」とも答えられなくて目を逸らし口ごもる。
「あーーー、俺、チアキのことは、その、もう大丈夫だから。」
そんな私の反応を見た慎太郎君は慌てたような困ったような顔をした。
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作者名：夕色 | 作成日時：2024年3月28日 18時
