キミがやさしい人だから 5 (ページ14)

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26-1/ いつも振り回す人ページ14

最初のうちは偶々かなって思ってた。でもずっと続くならそれはきっと作為的なものなのだと私は思う。

別に無視されてるとか、態度が冷たいとかそういうことは一切ない。話しかければいつだって笑顔で答えてくれるし、慎太郎君の方から声を掛けてくれることもなくはない。だけど。

最近慎太郎君は以前よりも朝アルビコッカにくるのが遅くなった。用事がある時は普通に話すけど仕事中に目が合う回数が減った気がする。樹先輩と三人での帰り道、前は私か慎太郎君が真ん中のことが多かったけど最近は樹先輩が真ん中になる事が多い。前からそんな頻繁にあった訳じゃないけれど他愛のない事で慎太郎君から連絡が来ることがなくなった。私から連絡した時も心なしか返事がそっけない気がする。

一つ一つは些細なことなのかもしれないけれど、全部が重なり続けば私だって思う。

——慎太郎君に避けられてる気がする。

という風に。

いつから、というのははっきりとは言えないけれど、多分、私が慎太郎君の家に行ったあの後からだった。結局私は二日も休んでしまい、休み明けからちょっとずつ「あれ？」と思うことが増えた。

——慎太郎君の家にいった時になにか避けられるようなことしてしまったのだろうか？

考えてはみるけれど、正直あの時はいっぱいいっぱいだった上に、家に帰って眠りについたら夢の中でも慎太郎君と慎太郎君の部屋にいたものだから、どこまでが現実でどこからが夢なのか記憶が曖昧になっている。

慎太郎君に手を握られたような気がするけれど、なんでそうなったのかは覚えていないし、それが本当に現実だったのかを確かめることはとてもじゃないけれど私には出来なかった。

一方で樹先輩とはよく話すというか、偶々なのかもしれないけれど、仕事中のちょっとしたタイミングで一緒になることが増えた。ここで再会したばかりの頃の苦手意識もだいぶ薄れたのを自覚している。

でも、だからって、慎太郎君からあんなことを言われるとは、思って無かった。