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夕食をアルビコッカで済ませた私はお茶を一本だけもらって、買ってきたおにぎりやら煮物やらを口に運ぶ慎太郎君を見守っていた。体調について聞くと喉も鼻も大丈夫だけど、とにかく熱で身体が重いということだった。一つ一つの動きにいつもほどのはきはきとした感じがなくて心配になるけど慎太郎君はコンビニで買ってきただけの食事に対して笑顔で「うまい」やら「しみる」やら「本当に助かった」やらしきりに言ってくれた。私は「大袈裟だよ」って笑うけど、慎太郎君は「大袈裟じゃないって」と返してくる。
多めに買ってきたからやっぱり残ったけど、その分は「明日食べるから」とのことだった。片付けを自分やろうとする慎太郎君を説得してベッドに横になってもらうと、枕元にすっかり温くなった保冷剤を見つける。
「これ、冷やしてくるね。別のある？」
「めっちゃいっぱいある」
尋ねると慎太郎君がどこか得意気に答えるのはおかしくて笑ってしまった。
「めっちゃいっぱいあるんだ。冷蔵庫開けて大丈夫？」
「大丈夫、大丈夫。変なもの入ってないから安心して」
念のため尋ねるとそんな返事が返ってきた。冗談をいうくらいの元気はあるみたいだ。
「そんな心配してないよ」
と答えてからコンビニで買った残りと温くなった保冷剤をもってキッチンへと向かう。今までだって緊張していたけれど、こういう生活感のある場所はなんだか余計に緊張した。冷蔵庫におにぎりや飲み物をしまった後に冷凍室を開けると宣言通りに大小様々な保冷剤が入っていた。その中から丁度よさそうなサイズのものを取り出し、代わりに今持って来た奴を入れる。作業をしていると冷凍室の逆サイドに見覚えのあるパッケージを見つけた。私が最近ハマってる今年発売したばかりのアイスクリームで、慎太郎君も同じのが好きなのかな、と思うとつい嬉しくなる。
ベッドの方まで戻ると枕元にあったタオルで冷凍庫から出したばかりでカチカチの保冷剤を巻いて横になっている慎太郎君に差し出した。
「これ」
「ありがとう。……冷たくて気持ちいい」
「そっか。良かった」
私から受け取った保冷剤を額の上にのせて目を閉じた慎太郎君が言う。ため息交じりのような声が少し色っぽいから、ドキリとしてしまった。
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作者名：夕色 | 作成日時：2024年3月28日 18時
