【34話】 温かみのある家 ページ34
「はあ、終わったー」
「お疲れ様。何か飲む?」
「あ、えっと、じゃあ麦茶で」
「了解」
学校から帰ると、すぐにセピアさんから呼び出しがあって、荷物を運ぼうと提案をもらった。
疲れていつ体を無理やり動かすのは少々きつかったけど、セピアさんにこれ以上迷惑を掛けれないと思う一心で運んだ。
その思いのおかげか、思ったより早く終わり、セピアさんも笑顔で迎えてくれる。
改めて「ようこそ、お帰りなさい」と言ってくれた彼はとても眩しくて、私の中で大きな存在になってしまうことが嫌でもわかったのだった。
「…あ、そうだ。明日俺の友達来るんだけど、大丈夫? 夜までいると思うんだけど」
「はい、大丈夫です。部屋に閉じこもりますので」
「いやいや、そこまでしなくていいんだよ? ただ、えっと申し訳ないんだけど、大きな音を立てないでほしいなって」
「…わかり、ました」
小さな疑問が生まれたが、申し訳なさそうに謝るセピアさんを見て、それもどうでもよくなった。
さっさと風呂に入って寝た方がいい、そう言われたので、お言葉に甘え、風呂に入る。
「…はあ。お母さん」
動くたびにちゃぷんと音をたてて揺れる水面に自分の情けない顔が映る。
これ以上惨めな気持ちになりたくないと願う一方で、まだ安心している自分がいることにも腹が立つ。
早く治ってほしい、帰ってほしい。
いや、もう痛い思いをするのは嫌だ。帰ってほしくない。
「……ほんと、最低だなあ」
セピアさんの家にいる以上、こんな気持ちでいるのはダメだ。
もう泣かない。そう決めたけど、ここにいると、どうも温かみがすぐそばにあって目の奥が熱くなる。
じわりと涙が滲んだ気がするけれど、気のせいということにして、今日はもう寝よう。
ざあっとあがってタオルを身にまとう。
自分の家以外の香りがするものは新鮮だった。
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saya - 読んだよー！夢主ちゃんの素直な気持ち。わかるよ。やっぱりセピアさんと一緒にいたいよね…。次回も待ってるー(・ω・)ノ (2015年7月25日 16時) (
レス) id: 76985f998f (このIDを非表示/違反報告)
小夜乃(プロフ) - *。〜瑠璃〜。*さん» そう言っていただけて本当に嬉しいです。私の小説のために泣いてくださってありがとうございます！(？)これからもよろしくお願いします！ (2015年7月24日 22時) (レス) id: 0081d467b8 (このIDを非表示/違反報告)
小夜乃(プロフ) - sayaさん» 今後の主人公の行動に期待だね！(他人事)ありがとう！ (2015年7月24日 22時) (レス) id: 0081d467b8 (このIDを非表示/違反報告)
*。〜瑠璃〜。*(プロフ) - 私、本とかで泣いたことないんですけどこれはホントやばかったです2828しながらも泣くとは、、、 (2015年7月24日 21時) (レス) id: 1dbcc7fe8e (このIDを非表示/違反報告)
saya - 読んだよー！お母さんが回復してる…しかも順調に…。でも帰ってきたら、また殴られたりする。セピアさんとの生活のほうが夢主ちゃんにとっては幸せなんだろうけど…でも、そしたら。夢主ちゃんはお母さんを…。夢主ちゃんはどうしたいのかな？次回も待ってるー (2015年7月23日 0時) (レス) id: 76985f998f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小夜乃 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2015年5月6日 17時
