9. 戦友でもあり ページ10
私達はお登勢さん達の言葉に甘え、月が見える河原の方まで足を運んだ。
こんな立派な月夜はあの頃を思い出す。
寺小屋時代は勿論、戦争の時代ではこうして月を眺めながら話を弾ませたのだから。
静かな水の流れが聞こえる中、後ろにいる二人の声は聞こえず、私達はただ静かにその場の芝生に座り込んだ。
『銀時も小太郎も、私が戦後どうなったのか聞きたいんでしょ?』
「……、あぁ、是非とも聞かせてくれないか?」
「……お前は、どうやってあのカラス達から逃げてきた?」
『正確に言えば逃げてきたと言うより、あの人が逃してくれたの。でも逃してくれたのは私が完治した時の5年目。その間は奴らの支配下にいた。』
二人は驚きを隠せなかった。
私達はあいつ等に命拾いをしたのだ。
二度もあの人に。あの朧って言う人に。
師に貰った命を無駄にするなと、
その間も何故かと医学についての本を読まされたのだから。
「……あいつ等の考えている事が分からん。」
「……全くだ、俺達はあいつ等に踊らされてるしか思わねぇが…。お前が無事で何よりだ。」
と私の頭に銀時が手を置こうとするが、
少しためらい、手を遠ざける。
それを小太郎は見逃さなかった。
「…、A……。今でも銀時が憎いか?戦が終わって、先生を失っても尚。」
『……っ!!』
「……ヅラ、もうよせ。」
小太郎の話通り私達は戦に破れ、先生はこの世を去った。
それがどうしようも無く悔しくて、
銀時に命令した朧って言う人が憎くって襲いかかった。
でも銀時は、
"もう辞めろ、A。もう終わっちまったんだ。”
それさえ気にいらなくて、
"その腕で、あたしに触らんでよ。"
そう言った後、
彼の腕を振りほどいて敵に襲い掛かったけど、
致命的な所を刺されて意識が遠のいた。
それから彼らとは会う事がなく、
5年間の間、天道衆の支配下に置かれ何故か完治するまで診てもらった。
その後は逃され、京の街に身を潜めた。
この10年間ずっと後悔した。
銀時達に会ったらまず言わなきゃいけない事。
左眼を負傷しながらも手を伸ばしてくれた晋助。
苦痛な叫び声をしながら私を止めていた小太郎。
止めてくれたのに腕を振り解いた時の銀時の顔が…。
あんな顔をさせてしまったんだ、私が。
ずっと心残りだったんだ。
皆だって同じ様に悔しいはずなのに。
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目覚まし時計の針 - 関西弁の赤髪キャラ…あれ…なんか天国が見えr((( (2022年9月10日 18時) (レス) @page38 id: 0727e3cb02 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - イチゴミルクさん» はじめまして!読んでくれてありがとうございます!長い間ずっと更新していなかったので、待たせてしまった事の申し訳無さと、それでも読んでくれて、応援のメッセージをくれる方が居てくれた嬉しさでいっぱいです。残りの物語を更新出来るよう頑張ります! (2022年7月5日 7時) (レス) id: f190ad2f2f (このIDを非表示/違反報告)
イチゴミルク(プロフ) - 初コメ失礼ッ!最近見始めたばかりなのですが京都弁夢主ちゃん可愛いしかっこいい…!あと,設定見た瞬間に,楠本…あ,私の苗字…え,運命?((()夢主ちゃんお嫁にもろてm((()更新頑張って下さい!応援してますッ (2022年7月3日 21時) (レス) @page3 id: 4b77fe0276 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - いえいえ!いつも楽しく読ませていただいてます!これからも頑張ってください!! (2019年11月3日 18時) (レス) id: 7a59223088 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます!!毎回読んで頂き、こちらとして励みなります! (2019年10月28日 17時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年10月21日 6時