【銀魂】紅華の女医

26. よく ページ32

刀が突き刺っていた戸が壊れ、
中には涙を流す日輪の姿が。




「お前、女とガキを連れて逃げろ。」





『………そう、じゃあ、任せるわ。面倒事にまた巻き込まれるのはごめんだから。

でも、これだけ受け取って。』





「…これ……。」





彼に投げたのは小さな巾着。
彼ならそれをどうするか分かるだろう。






『気付けてな。銀時。』





「あぁ、任せろ。寄り道済んじゃねーぞ。」





言葉を交わし、日輪の元へ行く。
下で激しい戦いが間も無く始まった。





「母ちゃん、逃げようここから…！」





と日輪を立たせようとするが､彼女は一方に立とうとする気も見せない。





『………っ…！貴方まさか……』




「あぁ…当の昔に斬られちまったのさ。だからアタシは逃げられない。逃げられる足が無いのさ。」




踵骨腱が切られている。これじゃ立つことも出来ない。





だから羽をもぎ取られた鳥…。





「貴方達だけでも逃げな。私を置いてここから…、」




『足が無いなら、手で這いつくばってまで逃げる。それが叶わないなら…』




「おいら達が母ちゃんの足になる。」




そうしないと銀時に託された意味が無くなる。
それに…




『貴方はこんな所で輝く太陽じゃないでしょ？

閉じ込められ黙って見てるのが女の役目じゃない。そうでしょう？日輪様？』





「本当……アンタは変わった女ね。」




「姉さん！おいらが母ちゃんを担ぐ。その間の道を開けて。」



部屋を出て下の様子を見れば…。




『……っ…！！』



「っ…！銀さん…！！」



壁に食い込む銀時の姿が。
夜王と呼ばれた夜兎の頂点の力は他の夜兎と比べ物にならない。



『急ごう。』




「何で！銀さんの仲間だろ？おいら達はいいよ！早く銀さんを…！！」





『こんな所で倒れる人じゃあらヘんよ。丁度、血糖値を下げないと行けへんからね、あいつは。

それに貴方の頼もしい母上方も来てはるで。』




「月詠姉……皆……！！」





心配になって助けたいのは山々だ。
でも、彼なら大丈夫。そう信じてるから。




それはきっと新八くんや神楽ちゃんも同じだろう。




『夜兎は日光を嫌う。吉原の天井を開けられる所は？』





「管制室だよ。そこでこの吉原の天井が開けられる。早く皆を助けよう。」

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