烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、因縁と ページ21

武田｢お疲れさまーっ｣



　ガラリと体育館の扉を開け、武田が入る。



　部員達は一斉に練習の手を止め、武田の周りに集まった。



武田｢皆、今年もやるんだよね？！ ゴールデンウイーク合宿！｣



澤村｢ハイ。まだまだ練習が足りないですから｣



　｢レシーブについて、及川に言われちゃったしなぁ｣とAはレギュラー陣を見た。



武田｢ＧＷ最終日、練習試合組めました！ 相手は東京の古豪、音駒高校！｣



『うちと因縁の相手……｢ネコ｣ですか』



　Aは腰に手を当てて言った。



　その目にはギラギラとした獣の色が映り込んでいる。



菅原｢じゃあ、ゴミ捨て場の決戦ですね！｣



日向｢なんですか？ それ｣



『｢カラス｣と｢ネコ｣だから、ゴミ捨て場らしいよ。実力も近いからいい試合が出来たっぽい』



　日向はそれを聞いて、おおーっと雄叫びを上げた。



　影山も雄叫びは上げないものの、楽しみなようだ。



武田｢対戦校が音駒と聞けば、彼も動くはず……｣



　武田の小さな呟きに、Aは首を傾げた。





　──練習が終わった。



菅原｢うおっ！ 今日もつまってんなー。羨ましい限りだわ｣



　Aが下駄箱を開けると、パサッといくつかの封筒が落ちた。



　いずれも愛らしい封筒ばかり。ラブレターである。



　Aは｢いいだろー｣と菅原に笑いかけ、落ちた封筒を拾い集める。



田中｢……まあ、Aさんイケメンで優しいっすもんね｣



日向｢うお、おおおおお……！｣



　日向はAのラブレターの量をのぞき見て頬を赤くした。



『ありがたいけど、今は部活に専念……かな』



田中｢もったいないねぇぇぇぇ｣



　パンパンッと少し砂のついてしまった封筒を払ってAは言った。



　言外に断るというAに田中が叫ぶ。



菅原｢ほれ、最後の一個。……なんか分厚くね？ これだけ｣



『好意の厚さっしょ』



　そう笑いながら、Aは苦々しげに厚い封筒を見つめた。

烏よ、闇へ→←烏よ、飛べ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す