泡が21つ ページ33
珍しく静かな船。暇を持て余し勉強をしていたものの、行き詰まってしまい外の空気を吸おうと、休憩をしに甲板に出て手すりに頬杖を付く形で体重を預ける。
『次の行先は、フーシャ村か』
終わりの見えない海の先を見続け、そんなことをぼんやり呟く。風が少し冷たくて、ヒンヤリとしている。
少し伸びてきた横髪が邪魔で、ライムが誕生日にくれたヘアピンを付ける。
「なんだ、今日は珍しくお前1人なのか。」
『なんだとはなんだ。シャンクス』
横目でちらりと見れば、そう不貞腐れるなと頭を撫でられる。何故だかそれが嬉しくて、海へ視線を戻す。
波の音と連動するように、シャンクスの麦わら帽子が揺れ、それを片手で抑えるシャンクスの手。
『ねー、シャンクス。』
妙な顔つきで言う僕に、「なんだなんだ、女でもできたか？」と茶化してくるシャンクス。今度は、横目でジロリと見れば すまんすまん と言って話を聞くために耳を傾けてくれる。
『フーシャ村から出航して、次の島に行く時に僕を降ろして欲しい。』
これ以上、みんなに甘えるのも面倒を見てもらうのもいけないと思う。それに、夢を叶えるにはもう独り立ちしてもいい頃だろう、そう思った。少し若くても、どこかの病院で下済みをして経験を積めばいいし。
その意志を伝えれば、こちらを見たまま固まったシャンクスが眉間に皺を寄せ困ったように笑った。
「うちのマセガキは、独り立ちがお好みか。そうかそうか」
ブツブツと何かを言い出すシャンクス。
そんなシャンクスに、いつまでも子供に執着する父親は親バカだよ。と嫌味っぽく言ってみると、あぁ！そうだな と言って笑い始めた。
少しの沈黙。
『急でごめんね。でも、どうしても僕は医者になりたいんだ。誰も見捨てることなく、手が届く範囲の人達を全て助ける』
「自由で最強な医者、だろ？」
分かっていると言うように、シャンクスは口を開いた。
それと同時にこちらに背を向けるシャンクスの背中が少し寂しくも見えた。
『フーシャ村に居る間の航海は、まだ居るからさ。それに、フーシャ村にだってまだ着いてないんだし ね？』
だからさ、そんなに悲しそうにしないでよ。これじゃ、どっちが大人かわかんないじゃん。
ここには、ウタが居るんだから僕一人船を降りても、問題ないでしょ…？
ねぇ、シャンクス。そんな顔をされたら僕、行くに行けないよ。
そっとシャンクスの背中に顔を埋めて時間だけが経っていった＿＿＿＿
僕だって、ここを降りたくないよ
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
