泡が3つ ページ3
『…』
穏やかな波の音と共に本のページを捲る。
今日は、窓から少し暖かい日差しが入り込んでいて勉強も捗る。
僕は将来、この船を降りる事になっている。
とは言っても、今すぐでは無い。シャンクス達に色々な知識を教えて貰って、ある程度歳を重ねたらという約束だ。
僕の部屋に散らばる、医学の本。内科や外科 その他、今まで行ってきた島で調達した物や、島の人に聞いた伝統の医学療法やホンゴウから聞いたものが、纏めてある手書きのメモ。
シャンクス達だって人間だ。怪我もすれば、治らない病にかかることだってある。人間は脆くて弱い。
それを理解してしまったから、僕は治せない病気など1つも無い医師になろうと手を伸ばし始めた。
「A〜!」
ノックも無しに、ドォォンと効果音が付きそうなほど大きな音を立ててドアを開けるウタ。
驚きのあまり手に持っていた本を落としてしまう僕。
『ウタ。頼むから部屋に入る時はノックをして静かに入ってきて』
「も〜!Aってば入った瞬間にお説教?」
頬を膨らませながら、大袈裟に肩を下げて嫌そうな顔をするウタ。そんな顔をするならわざわざ来なくたっていいじゃないか。そう思う僕は悪い子なのだろうか。
『それで?なにしに来たの?』
「んーとねー」
そう言って僕の部屋へズカズカ入り込み、じとーっと本を隅から隅まで見始める。一瞬、ピタリと動きが止まったかと思えば 次はパタパタと目的の物へ駆け出し手に取った。
『え、ちょっと』
「これ!貸して!」
僕の机の上に置いてあった本を手に取り、そのまま部屋を出ていった。『まって』と言った僕の声も届かず、どうしようと頭を抱えながら焦り始める。
あの本は、大切なものなんだ。
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2023年3月5日 14時) (レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました!何回も読ませてもらいます!お疲れ様でした! (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます!嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした!! (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です!本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです!新作等たのしみにしていますね!♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パチュリー | 作成日時:2022年9月12日 3時