淡が7つ ページ15
一頻り泣いた後、何者かによってドアが音を立てる。
ドンドンドンという強い音。
普段、師匠やシャンクスはノックをして入ってくる為、知らない人が来たということになる。
”誰か来ても部屋に入れちゃいけないよ”
”例えアタシの名前が出されようと、シャンクス達やアタシの声がしない場合は絶対に入れちゃダメだ”
師匠に言われたことを思い出し、そっと息を潜める。
扉の向こうからは声はせず、ただドアを叩くだけ。
じっと待っていれば、直ぐに音は止み複数人の足音も遠くなっていく。
『な、なんだったんだろう…ししょーはやく帰ってきて…』
本を両手で抱えたまま、その場に座り込み不安でいっぱいの胸を抑える。外の音に耳を済ませれば、先程は気づかなかった騒がしい音が段々と聞こえてくる。
パチパチといった木が火を噴く時に出る音や、ゴオォといった地鳴りが聞こえてきた。
そして、そこで困惑する。
『え、ほのおのおと…?』
急いでドアを開けて外を確認してみると、視界いっぱいにオレンジ色の光が入ってきた。それと同時に、焦りと不安が一気に流れ込んでくる。
動物は駆け回り火から逃れようと全速力で、木がメキメキと次々に燃え倒れていく。
『か、かんじゃさん。そうだ、どうしよう。ししょーもどこにいるんだろう』
幸いなことに僕と師匠の家は、患者さん達が住んでいる住宅街の少し上に位置する山頂である為、ここまで炎が上がってこなければ医薬品などは燃えなくて済む。
けれど、この火事から逃れようとして怪我をしている人がいるかもしれない。そう思い、リュックに沢山の調合済みの薬や包帯、患者さんの診断書や本などを詰め込む。
大切な本は両手に抱えて、無我夢中で走り出す。
『ししょー』
雪が僕の体温をどんどん下げていく中、必死に走る。
どこに向かえばいいのかも分からない、けどきっとあそこに行けば何かわかる。
きっといるから。
助けてくれるから。
シャンクス!
師匠は今どこにいるかわかる?僕、師匠の力になりたいんだ!
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2023年3月5日 14時) (レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました!何回も読ませてもらいます!お疲れ様でした! (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます!嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした!! (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です!本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです!新作等たのしみにしていますね!♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パチュリー | 作成日時:2022年9月12日 3時