人間洗浄機３

日常112　台風の予感 ページ39

「帝統！」

「お！Aー！」

例の公園で無事会えた二人。
帝統は少女を見つけるや否や、少女に飛びついた。

「うわ！…あれ、何か良い匂いする。柔軟剤の匂いだ…。」

「俺がいつも臭いみたいに言うな！」

「いつもどこか獣臭がするんだよ。」

珍しく良い匂いのする帝統に驚き、少女は帝統の服に顔をうずめる。
帝統は何故か匂いをかがれることに羞恥心が芽生え少女を引きはがした。

「あ、そんなことより、今日はどうしたの？」

「あぁ！飯行こうぜ！俺の奢りで！」

「え？」

「だから、飯行こうぜ！」

「いや、その後。」

「ん？今日は俺の奢りだぞ？」

いつもお金のない帝統がご飯を奢ると言い出して少女は固まる。
明日は台風でも来るのではないだろうか。

「…盗んだの？」

「勝ったんだよ！失礼だな！」

「…成程。」

帝統が良い匂いな理由も、今日はやけに清潔感がある理由もすべてが合致した。
どうやら勝ったというのは嘘ではないらしい。
帝統の厚意に甘え、今日は奢ってもらうことにした。

訪れたのは近くのカフェ。
帝統がこのようなカフェを知っていたことに驚きだ。
どうやら、前に一度乱数と来たことがあるらしい。

「何でもいいぞ！」

「じゃあ…シーフードドリアで。」

「俺は…ハンバーグにすっか。」

注文を終え、料理が来るのを待つ。
その間も会話は尽きることなく、席はにぎやかだ。
内容は帝統の賭場での話だが、少女は興味津々に聞く。

同行する度胸はないが、興味はあるらしい。

そうこうしているうちに料理が届く。
幸せそうな顔をしながらドリアをほおばる少女を見て、＿やっぱりたまには悪くねぇな、何て思う帝統。
それはおそらく、相手が少女であるからだろう。

「なぁ、一口くれ！」

あまりにも少女が美味しそうに食べるので、少女のドリアも食べたくなった帝統。
少女は＿もちろんいいよ！と言って帝統に一口分差し出した。

「うまいな！ほら、お礼な！」

「…帝統のハンバーグも美味しい！」

デジャブな光景である。
はたから見たらバカップルであるやり取りだ。
しかし、二人の間にはまったく下心が無いのだから驚きだ。

お腹も満たされた二人はカフェを後にする。

「帝統、ごちそうさまでした。」

「気にすんなって！初めて会った時は奢ってもらったしな！」

＿あれはお詫びだったんだけどな。
と少女は思うが、帝統が嬉しそうだから良いのではないだろうか。

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