七頁目 ページ7
彼は意外な回答を返してくるものだから自分の醜さに恥ずかしくなる。
「手紙を届ける為だけにこのゲームに参加したの?」
「え?……あぁ、そうなりますね……」
自分の為でもないのにわざわざこのゲームに参加したのか。彼は余程の人格者だ。
「ところでその手紙って渡せたの?」
そう尋ねると彼は少し顔を伏せて「……ここにはいなかったんです」とだけ言った。
「失礼なこと聞いちゃってすいません……」
デジャヴを感じるやり取りだった。怒らせてしまっていたらどうしようという考えを遮るように「そんな気にしてないので大丈夫、です。……あ、時間、もう遅いので僕は部屋に戻ります」
と言って彼は立ち上がる。
改めて彼の姿を見てみると周りの風景に比べて彩度が低く、彼だけが違う世界から抜け出してきたみたいだった。端的に言えば、絵になっている。
彼は庭から出て行く際に
「……起こしてくれてありがとうございました」と言って出て行った。
私は彼が出て行くまで後ろ姿を眺めていた。
不思議な人。それがイソップ・カールの第一印象だった。
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野菜 - 感想ありがとうございます!こんな褒められると思ってなかったので嬉しい限りです。引き続き頑張りますので是非たのしみにお待ちください! (2019年6月27日 16時) (レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
saniwanotori(プロフ) - 背景推理からとても丁寧に物語を構成されていて読み応えがありました。不穏な描写の表現も天才的でドキドキしながら読ませて頂きました。こんなに面白くてとても素敵な作品に出会えて幸せです!切実に消さないで欲しいと思いつつ、続きを楽しみにしております (2019年6月26日 23時) (レス) id: 9faba28f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野菜 | 作成日時:2019年6月22日 13時