二十九頁目 ページ31
天賦表を持ってきて先程の話に戻る。
勿論のことウィラさんは明らかに不機嫌だ。
「……それで、天賦についてだけど……」
沈黙の中彼女だけが説明の為に喋る。些細な質問、疑問ですら口出しするのも憚られ私達はそれを大人しく聞いている。
どことなくぎこちない空気が満ちていてなんとも居づらい。その空気を作ったのは私達なのだから自業自得だが。
「全員同じポイントがあってそれをこの表の項目に振り分ける。そうすると特定の状況下で様々な効果を発揮するって書かれてるの。
要するにハンター陣営とサバイバー陣営の力の差を調整するためのハンディキャップってところみたいね」
なるほどハンディキャップか、と思ったがハンターの脅威を知っている私からしたら気休め程度でしかない。
そもそも部屋に入ったのに姿すら視認できず相手から恐喝された時点で私は負けているし、もうハンターに抗う気などさらさらない。
というか降参したい。
「私はこの天賦を全員似た感じにしておいた方が把握しやすいんじゃないかって思っているのだけど……」
「なるほど天賦の統一だね?確かにバラバラな状態で行った場合、揉めそうだしね」
「……統一には僕も賛成です」
「私もいいと思います、連携取りやすそうですし」
満場一致になると彼女は「じゃあ、決定ね!」と手を叩く。
そうして彼女は樹状に伸びる図の一番右と下の部分に指を指す。
「この危機一髪と中治りという天賦は取っておいた方がいいと思うの」
説明を読めば救助時と通電時に役に立つものらしい。
「つまりはこれで誰でも救助に行ける状態になるわけですか」
「そういう事ね。この2つを取ると残りのポイントが20しか無くなるのだけど、他に入れたら良さそうなものはあるかしら?」
「……あの、起死回生がいいと思います。それを取る為には、火中の栗も取らないとなんですが、これもなかなか使えると思います……」
イソップくんの提案した天賦を見ると一回のみだが自力でダウン状態から立ち直れるみたいだ。
しかしながら所詮はゲームだし怪我なんてしないだろうからいくらでも不正は出来るような気もするが。
「なかなかいいわね、採用しましょう」
そうして皆で天賦の表に丸を付けてゆく。
残りのポイントはあと10。何かいい天賦はないものかと見ているといい感じの天賦を見つける。
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野菜 - 感想ありがとうございます!こんな褒められると思ってなかったので嬉しい限りです。引き続き頑張りますので是非たのしみにお待ちください! (2019年6月27日 16時) (レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
saniwanotori(プロフ) - 背景推理からとても丁寧に物語を構成されていて読み応えがありました。不穏な描写の表現も天才的でドキドキしながら読ませて頂きました。こんなに面白くてとても素敵な作品に出会えて幸せです!切実に消さないで欲しいと思いつつ、続きを楽しみにしております (2019年6月26日 23時) (レス) id: 9faba28f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野菜 | 作成日時:2019年6月22日 13時