十五頁目 ページ16
その後は何事も無くワインとガラスの破片を片し終えられた。
片付けを終えたらやる事もなく次は何をしようかと考えていると「すいません、1つ……いいでしょうか?」とイソップくんから話を振られる。
「いいよ。何?」
「貴方は自分が死んでいる事に気付いてますか?」
「え?何の事?」
「あぁ、やっぱり……」
と言って彼は何か考え始めた。
私が死んでいる?本当一体何の事だ。
また心理テストかとも思ったが私に回答の隙を与えては無かったので違うだろう。
「いや私は死んでないけど……ここで動いてるし……」
「あぁすいません説明不足でしたね。肉体的にではなく精神的に、死んでるんですよ」
話が段々と通じなくなってきていないだろうか?多少の不快さを感じ始める。
しかし話が通じなくなってきたのとは裏腹に彼は饒舌になっている気がする。
大体精神的に死んでいるとは何だ。
精神的に死んでいるならば私は廃人という訳だが。失礼にも程があるのではないか?
なんだか頭が痛くなってきた。
「いやいや、精神的にも死んでないし……イソップくんこそどうしたの?」
そう言って彼を見ると思わず言葉を失った。
彼の感情の起伏が感じられない目は私をしっかりと捉えていた。
一切逸らさず、私だけを。
いつものような振り子時計とは違う目線に私は縫い付けられてしまったかのように私は動けなくなる。
「いえ、やはり貴方は死んでいますよ。遺体は納棺しないといけないんですよ。僕の仕事ですから」
余りに突飛な話をし始める彼に多少の恐怖心を抱き、それと同時に私の顔が強張ったのを感じる。
「……だから、僕に納棺されてくれませんか?」
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野菜 - 感想ありがとうございます!こんな褒められると思ってなかったので嬉しい限りです。引き続き頑張りますので是非たのしみにお待ちください! (2019年6月27日 16時) (レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
saniwanotori(プロフ) - 背景推理からとても丁寧に物語を構成されていて読み応えがありました。不穏な描写の表現も天才的でドキドキしながら読ませて頂きました。こんなに面白くてとても素敵な作品に出会えて幸せです!切実に消さないで欲しいと思いつつ、続きを楽しみにしております (2019年6月26日 23時) (レス) id: 9faba28f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野菜 | 作成日時:2019年6月22日 13時