衣ほすてふ天の香具山 ページ8
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「いい天気〜！」
ついこの間までじめじめしとったのに
「あっつ…」
「将企くんありがとう」
嘘みたいに、カラッとした晴天。
「そんな一気にやらんでも」
「久しぶりの晴れだよ？しかもおやすみ！」
ベランダの掃除をしとるAのところへ
「暑いのに元気やなぁ」
洗い終わった洗濯物が入ったカゴを持って行く。
「夏生まれですから」
「紫外線気をつけんと」
「大丈夫、日焼け止め塗ったから」
部屋着の薄いワンピースを着て青空の下の
ベランダで1枚ずつ服のシワを伸ばしながら干す姿が
「天女みたいやな」
「ん？」
「テンポよく服を持って干す動きとか、Aの楽しそうな表情とか、天女が舞っとるみたいやなって」
「なにそれ？」
天女、という言葉に照れたのか
真っ赤になって背中を向けたAが可愛くて
「きゃっ！」
暑いとかどうでもええ、
思いっきりその背中に抱きついた。
「天女みたいに、勝手にどっか行かんといてな」
「ふふ。大丈夫。ずーっと将企くんのそばにいるから」
抱きしめとる俺の腕を掴んで
「ね、美味しいコーヒー買ってあるから、早く干してゆっくりしよう？」
振り向いて上目遣いで俺を見るAにキスをして
「よし！やるかぁ！」
洗濯物に手を伸ばす。
「もうっ！ベランダでやめてよね！」
また真っ赤になるAを見て笑う、夏の朝。
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作者名：裕 | 作成日時：2021年7月12日 1時
