人妻ゆゑに我恋ひめやも ページ6
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Aに振られた。
何回か女の子と遊んだのがバレてその度に別れると号泣され
なんとか言って別れを回避した、
けど
「結婚考えてないなら、別れて欲しい」
俺の目を見て言うその真剣な表情からわかる、
もう意思が固まっとる。
結婚は考えた事もあったけど、まだええかなって、なんとなく縛られる気もして。ずるずると付き合っとったら
「将企といたら幸せになれる気がしない」
ついに愛想尽かされた。
遊んどいてなんやけど、ほんまは別れたなかった。
でも「じゃあ結婚します」でこのまま結婚しても違う気がして。
それから数年経っても相変わらずな俺で。
「俺さ、結婚すんねやんか」
そんななか、濱家さんから報告を受けた。
「今までそんな話言わんかったやないすか！会わせて下さいよ」
濱家さんが選んだ相手
純粋に見たかったから言ったんやけど
「一回聞いてええ…？」
やけに渋られて
「こんなに仲良いのに紹介してくれないんすか？」
その言葉に濱家さんがボソッと口を開いた。
「…Aやねん、相手」
「…はい？」
「A。お前の元カノ！」
付き合っとる時、濱家さんに紹介したし何回もご飯に行ったことはあるけど…
「そうなんすか」
その後の言葉が入ってこんかった。
とにかく、酒を浴びるように飲んだ記憶はある。
「久しぶりやな」
「だね」
濱家さんとA、そして俺。
あの頃には想像もしとらんかった、この相関図。
俺と付き合っとる時には見せたことのない幸せそうに笑うAを見てこれで良かったんやと言い聞かせた。
「A、俺んとこに戻るなら今のうちやで？」
「すごいね、堂々と」
「やからリリーと会わせたなかってんて…」
おいでと手招きをする俺を見て口元を隠して笑う。
変わらない癖が懐かしくて、愛おしい…
でも。
Aの、その口元を隠す左手の薬指と
グラスを持つ濱家さんの左手の薬指に
同じ指輪が光っとる。
「濱家さんが泣かせたら奪いに行きますわ」
「お前が言える言葉ちゃうやろ」
それが悔しくて、お祝いの言葉は言えんかった。
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作者名：裕 | 作成日時：2021年7月12日 1時
