コイノウタ (ページ47)

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あはれともいふべき人は思ほえでページ47

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沖遥か彼方に異国の船が見え、小さな港町が騒ついてすぐだった。家にお役人さんがやってきたのは。

「将企さん、、昨日」

「...知っとる。俺がもっと、」

「これが私の運命なんです」

国のため、これは、御国のためなの。

一生を添い遂げようと約束した将企さんとは、会えなくなるかも知れない。

「ぁ、待っ、、」

「そんな時間ないやろ？」

「んんっ…ぁ、、い、っちゃ、、」

「はぁ、俺も、、」

だから忘れないように、沢山将企さんを全身で感じる。身体に刻み込むように。

「えっ、さっき、、ぁあっ」

「っ…絶対、帰って、待っとる、からっ」

はい、って答えたいのに喘ぎ、泣くしか出来ない程に突き上げられて何回目なのか分からない昇天を迎える。

「お迎えが来たわ」

「、はい」

ついにこの日が来た。
母に呼ばれて行くと人集りと駕籠が目に入る。

「異人に？いやねぇ」

「見目麗しいのも良し悪しやな」

「穢れるわ、、」

色んな声が聞こえる中を歩き、お役人さんに言われて素直に駕籠に乗り、簾が下ろされる時

「A！Aっ！」

将企さんが人集りを掻き分けて、駕籠の近くまで来る。

「将企さんっ…！」

「待っとるから、、待っとる！ずっと！」

月照る夜、私は役目を終え家に帰った。

「、、、A？Aなの？！」

歳の離れた姉がひとり。そこで全てを聞いた。

私が行った日から、異人の妾の親だと言われ気を病み身投げしたこと。姉も大切な人から私のせいで別れを告げられ戻ったこと、そして、、

「将企さんは、あなたのこと本当に待っていたの。私達残された家族を気遣って毎日のように顔を出してくれたわ。でもね、あの人の親が無理矢理、婿養子として、、」

「将企さん…」

「これ、あなたが帰ったら渡して欲しいと置いて行ったわ」

渡された小さな包みを開けると、将企さんが持ち歩いていた櫛と綺麗に折り畳まれた紙。

開くと私の横顔と恋慕と書かれていた。

「死ぬは易くて生きるは難しとはこの事ね、、」

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唐人物語 / サザンオールスターズ

幕末、アメリカ総領事ハリスの看護人として選ばれた"斎藤きち"という実在した女性の生涯が歌詞になっています。歌詞の綺麗さと原坊の声と音の切なさが癖になる大好きな曲です。

こちらの話はフィクション多めですが、、歌詞を自分の世界に取り入れて作ってみたかったので今回はいつも以上に楽しかったです。