#126 ページ36
…
失態は自分にある。
それは重々承知やけど。
大「言ってなかったら…こういう時不便やねんなぁ……」
水に浸かった食器を丁寧に洗いながらやすが来るのを待つ。
急いでる足音が近づいてきて、
勢いよく、バンッと玄関が開く。
安「大倉！！！！！」
え、なんか怒ってる？
大「…？」
手を拭いて、玄関に向かう。
安「お前、逃げんの？」
走ってきたのか、怒りが溢れてるのか…
ヤスは肩を上下させながら、俺のネクタイの根元をぐっと持ち、引き寄せる。
安「逃げんな！……逃げんな…」
最初はあんなに力強かったのに、
だんだんとネクタイを引く力が弱くなる。
目も潤む。
安「…堂々と、立ち向かえよ…………
サポートぐらい…させてよ…」
胸に収まったヤスの頭を、撫でてもいいものかと迷う。
掌を、頭の上に乗せて、グッと自分の方に抱き寄せた。
大「…ごめん。ヤス、ごめん……
ありがとう。俺、闘ってみる。」
俺が言わんかったこと、
ヤスは気づいてるのに気付かないふりをしてくれていたのか…
安「…うん。もう隠し事はなしやで？」
大「うん。わかった。」
安「詳しいことは後で聞くから早く支度して行こ？」
大「あ、でも会長とかに体調不良やって伝えてある…どないしよ……」
安「そんなん謝って許してもらい！
はよ行こ！間に合わへんくなる！」
ヤスはびっくりするくらい素直で、
まっすぐ生きてる。
亮ちゃん…亮ちゃんの心配する様な感じじゃないで？
ヤス、ちゃんとまっすぐ生きてる。
俺を正してくれる。
…
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作者名：ゆうか | 作成日時：2020年4月7日 10時
