【Fischer's】七色の色

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｢__えと...お邪魔しました。｣



夜、8時。



みんなの撮影の様子を今日1日見学させてもらって、


ご飯も食べさせてもらって、




こんなのでアシスタントが務まるのかな。なんて思いながら、私はシルクの家から出る。




向かう先は、歩いて数十分で着く母のもうひとつの家。





仕事が忙しく、家との行き来が難しい時に使っていたマンションの一部屋らしいが




何にせよ初の一人暮らしだ。





｢______。｣



1人だと、色々と考えてしまう。

___色々と。



何十年間、この世界で生きてきたから


今更色が無いことで、悲しくて泣いちゃう。なんてことは無いんだけど



...だけど




あぁ、普通の人ってこういう世界なんだって知ったら

自分の世界を、壊したくなってしまう。



__ﾄﾝｯ

シ｢うぃー。｣





｢え_____。｣






私の背中に、誰かの手のひらがそっと当たる。


｢なんで...?｣



振り返って映ったのは、前髪が向かい風で上がったままのシルクの姿。



さっき、また明日ねって言って別れたのに。



シ｢あ?...明日、マサイの家集合って言い忘れたから。｣








遅い私の歩幅に合わせて、シルクは歩く。




...無言のまま、歩くこと10分程。



シ｢ここ?お前ん家。｣


｢__うん。ありがとうございました。｣





シ｢じゃ、また明日な。｣




そう言ってシルクは、ダボダボのズボンのポケットに手を突っ込んで私に背中を向けた。




その瞬間、微かに見えたシルクの笑顔は




...少し、赤いような気がした。




けどまた、瞬きをしたら色は消える。







｢言うの忘れたなら...携帯で言えばよかったのに__。｣





私は、シルクの黒い背中が




見えなくなるまでそこにいた。


________

お、お気に入り60人っ...そして初めのページにも書きましたがランキングもっ...


本当にありがとうございます!!!!!みなさんのお陰です...!!!!!!!


これからもよろしくお願いします!!

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