【Fischer's】七色の色

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また。


ほんの一瞬、目に映るものに色が付いた。





机の上に転がっていたみかんが




モノクロの世界から、ほんの一瞬抜け出した。



｢すっ、すみません何でもありません!!｣




つい驚いてしまった私は、物凄い大きな声を上げていたことに我に返った今気が付いて、


口を片手で抑えながら必死に頭を下げる。




シ｢え、いや全然平気。...なんか気になるもんでもあった?｣


｢いやっ...ちが、あの...。｣



マ｢落ち着けw｣




今日1日で変な事が沢山あって、あたまがいっぱいいっぱいな私は言葉が渋滞。



浅く深呼吸して、再び口を開く。




｢み、みかんに色ついてて...。｣




あ。


私の症状の話、してない筈だから変な風に思われたかな。



ザ｢えっと...。色が...分からないんだっけ。｣





そんな時、ザカオが遠慮がちに私に聞く。


｢あ、知ってましたか。全然、そんな暗い話じゃないのでそんな顔しないで下さい。｣




お母さんから昨日電話で聞いた。そう、私の言葉に続けてマサイは言った。



｢ただ、色の区別が白と黒のみでモノクロなだけなんです。


手術やメガネ等で治るのが普通らしいですけど...私の場合精神的な問題と病院の先生に言われて、ずっとこのまんまなんです。



けど...みなさんに会ってから、ほんの一瞬何かに色がつくことが多くて。｣





心配そうに私を眺めるみんなに、大丈夫と伝えたくて


私はいつもより元気に喋る。




けど実際は



綺麗な色をほんの一瞬見た後に、自分のモノクロな世界に戻ってきたわけだから



ちょっと、悲しいんだけど。





シ｢じゃ、俺達にはちょっとでも、Aの目に色を戻せる可能性があるって事だな。｣




シルクロードはそう言いながら、机の上に7人分のコップを置く。




シ｢俺の事は、気軽にシルクって呼んで。




__色なんて関係無い。今を、思いっきり俺達と楽しもうぜ!!｣









......うん。




私はシルクの言葉に、小さく頷いた。









相変わらず、目で見る景色はモノクロだけど。




心は、明るい色に染まった。

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