F92 #3 ページ9
それからも、いじめは続いた。
慧くんがどう思っているかは知らないけれど、僕と慧くんはずっと他人のフリをしたし、帰り道に同じ方向に慧くんを見つけたらわざと別の道から帰ったりした。
第一、放課後は探し物をするのがほとんどで、同じタイミングで帰ることはほとんどなかったけれど。
慧くんと同じ時間に帰ってこないこと、宏ちゃんは不思議そうにしてたけど、僕は友達と遊んで帰ってるんだって言えば納得した。
納得したどころか、慧くんも仲間に入れてあげてね、なんて。
仲間なんて、いないよ。
慧くんも大概一人だ。
最初こそ、転校生に興味津々のクラスメイトたちに囲まれていたけれど、慧くんはほとんど話さないし。つまらなくなったのか離れていった。
でも、それ以上でもそれ以下でもない。
ただ一人なだけ。
僕とは違う。
そんな僕も、このいじめをそこまで辛いとは感じなかった。
だって、いじめじゃ死なないもん。
今までの仕打ちに比べればどうってことない。
そう、思っていたんだ。
「光、何探してんの。」
「何って……」
教室のゴミ箱の前、必死にゴミ箱の中に手を突っ込む僕にあいつらが言う。
お前らが隠した筆箱だよ、なんて言えるはずない。
「あっ、もしかしてこれ?」
教室の床に投げられた筆箱。
宏ちゃんが買ってくれた、青い筆箱。
大きな音がして、消しゴムと定規が飛び出す。
拾おうとした左手が踏まれた。
指はギリギリ筆箱に届かなかった。
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青空と虹(プロフ) - わざわざ言っていただいたのにすみません……これからもよろしくお願いします! (2021年2月2日 2時) (レス) id: 4cc456b6d8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - 青空と虹さん» いえいえ!了解しました、これからも応援しています! (2021年2月1日 21時) (レス) id: 802ab26e17 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - ぷく顔信者さん» はじめまして!コメントありがとうございます。今のところ自分の作品はイニシャルを入れずに伝えたいな、と思っており、入れずに進める方針です。読みづらくなってしまい申し訳ないのですが、誰が話しているのか考察して欲しいな、という作者の我儘です。ごめんなさい! (2021年2月1日 20時) (レス) id: 4cc456b6d8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - 初めまして!まだ数話しか更新されていませんが、楽しく読ませてもらっています(´˘`*) 差し出がましいのですが、鍵かっこの初めに誰が話しているかわかるようにイニシャルなど入れていただくことは可能でしょうか…? (2021年2月1日 19時) (レス) id: 802ab26e17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青空と虹 | 作成日時:2021年2月1日 0時