イルミナント

【作者から皆さんへ、感謝の気持ちを込めて】yb(20) #2 ページ46

高校で病んだ。
病んだって表現はチンケであんまり好きじゃないけど、多分これが一番伝わりやすいんだと思う。


色々なプレッシャーで押し潰された結果だった。



あとがきにはたくさん仰々しい言葉を並べてみたけれど、結局は自分が救われたくてただ話を書いた。
人に見られてるとかどうでもよかった。
自分が救われればそれでよかった。

こんなこと、言ってくれる人がいればいいのにって。





成績は落ちた。妄想の賜物だった。
成績と引き換えに評価を得た。

「作品」の数字はどんどんと伸びていって、見知らぬ人から声が届いた。

自分のために作った話は誰かのために作られた「作品」に変わった。


コトバは力を持っている。



「受験とか考えたくね〜」

「やぶは受験なんだ？」

「伊野尾はちげぇの？」

「俺も受験だけど一般じゃなくて推薦出そっかなって思ってる。」

「理系の推薦えぐそう。」

「一般の方がえぐいよ。」



受験勉強に嫌気がさして、半ば諦めムードだった。
第一志望はもちろん落ちたし第二志望も落ちた。そんな気はしてた。

そんな中、コトバたちだけが味方だった。



大学に入って、仲の良いメンバーで近くの席に座るようになった。
当たり前だけど私語が始まって、妄想の時間がなくなった。

その代わり、家に帰って妄想をした。
いろいろなドラマを見ていたせいか、昔よりも台詞が浮かんできやすくなった。


でも、あんまりネタは転がっていなかったからまたネットの世界へと足を沈めた。
孤独な同志がたくさんいた。


あの時の、無名のあの人もこんな気持ちだったのかなって。




今度はたくさん声が届いた。


コトバは力を持っている。




「いつまでこんなことしてるんだと思う？」

「…………」

「力をもらえなくなったら辞めるのかな。それとも力をもらいながらも辞めていくのかな。」

「………」

「違う力に変わったら辞めるのかもね。でも今もらってる力ってすごくない？俺、ただの大学生だよ？なのにこんな…」

「……」

「伊野尾に言ったらびっくりするかな。俺の話、1000人以上が読んでるんだぜって。」

「……」

「ひかるだったら……誰だったら素直にびっくりするかな。すごいねって。」

「……」

「別の意味でびっくりするかもね…」




そう、自嘲気味に呟いた。
目の前のモニターにはセリフの羅列が浮かんでいる。


あの頃埋められなかった原稿用紙3ページが一瞬で埋まった。

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