イルミナント

J93 #2 ページ30

「なんでだいちゃんはいけないの！！！」


駄々をこねられるのは予想済み。
ただ、ここまでしぶといのは予想外。



玄関前で大暴れする大ちゃん。
おかげで俺らは靴をゆっくり履くこともできない。



「みんなおでかけしててずるい！！だいちゃんもいくのぉっ！！！！」

「大ちゃん昨日公園行ったでしょ〜？」

「だいちゃんもおかいものいぎだいっ！！」

「今日は雄也たちとお留守番。」

「いやぁっ！！！」

「そこまで嫌と言われるのも結構傷つくんですけど？笑」



あまりの暴れ加減に笑ってしまいそうになる。
跳んで手をバタバタさせて地団駄を踏んで、忙しいなぁ笑



「2人じゃなくてもいいけど…」


いやいやいやダメダメ。
慧くんはきっと優しさで言ってくれてるんだろうけど、慧くんがせっかく2人で行きたいって言ってくれたんだ。
絶対譲らないぞこれは。



「雄也。」

「はいよ、俺が慰め役ね〜」



「大ちゃん？」



少し低い声を出せば大ちゃんの動きがぴたりと止まる。
どうやら俺が怒っていると思ったらしい。



「あんまりヤダヤダ言ってわがままばっかりだと、もう大ちゃんどこにも連れて行かないよ？」

「……っ…」

「じゃあ宏ちゃんたち行くからね？」



よし、今のうち。
慧くんの背中を押して、先に靴を履かせる。

俺もさっとスニーカーに足を入れて家の鍵を持った。



「いってきま〜す。」

「いってきます。」

「いってらっしゃい！」

「いってら〜」


「……っしゃい…」




最後に震えた声のいってらっしゃいが聞こえた気がする。
大ちゃん、雄也ごめん。

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