イルミナント

J41/F33 #5 ページ28

正直、驚きはなかった。

ネコのぬいぐるみの話を聞いた時点で親に問題はないんじゃないかなって思っていたし。
でも、彼がここまで感情を曝け出してくれることに驚いた。


ずっと、聞いて欲しかったんじゃないか。
ずっと、抱きしめて欲しかったんじゃないか。


ずっと、愛情が欲しかったんじゃないか。


それをずっとずっと黙って、ずっとずっと隠して。
君は偉いよ。偉いけど馬鹿だ。




「しんじゃ……って…」



慧くんの目からポタポタと涙が落ちる。



「しっ……じゃ………」

「ねぇ慧くん。」

「……」

「抱きしめてもいいかな。」



静かに頷いた彼を抱きしめる。

今までお疲れ様、もういいんだよって伝えたかった。
彼に愛情を伝えたかった。




「うわぁぁあっ……」




堰を切って慧くんが泣き出す。

今までこんなに大泣きできることなかったんだろうね。



「もう、いいんだよ。」

「おとっ…さっ……！おかあさん……っ！！」

「もう、いいよ。いいんだよ。」




その夜は俺の部屋で2人で眠った。
普段は大ちゃんを寝かせる俺の隣を慧くんが独占した。




J41/F33 Fin.

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