J105 #3 ページ14
ドアノブに伸ばした手を回すか躊躇う。
鍵がかかっているのはわかっているけれども、慧くんと話したい。
「慧くん。少しだけ、お話しない?」
多分俺の声は震えていたと思う。
慧くんが話してくれるとは思わないし、無理に話して欲しいとも思わない。
でも、彼の気持ちを知りたかった。きっと彼だって意味がなく怒ったりはしないだろう。
大ちゃんは大泣きしていてとても話せる状態ではないし、そのまま寝落ちしてしまう気がする。
「君を責めるつもりはないから。少しだけ、話して欲しいんだ。」
なんなら世間話でもいいんだ。
とにかく話して欲しい。
嫌なことがあるのなら、辛いことがあるのなら、悲しいことがあるのなら。
最近ご飯は前より食べてくれているけれども、やっぱりそれじゃ寂しい。
「慧くんが悪いとも思ってないよ。だから…」
鍵が。開いた音がした。
鍵穴が縦になって、扉から人が離れる音がした。
ドアノブをくるりと回せば、慧くんは勉強机に向かっていた。
机の上にはもちろん何もない。
何もないけれど、慧くんの涙が数粒零れていた。
腕の中には、慧くんと向かい合うようにネコが大切そうに抱きしめられている。
「慧くん…」
「ごめんなさい。」
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青空と虹(プロフ) - わざわざ言っていただいたのにすみません……これからもよろしくお願いします! (2021年2月2日 2時) (レス) id: 4cc456b6d8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - 青空と虹さん» いえいえ!了解しました、これからも応援しています! (2021年2月1日 21時) (レス) id: 802ab26e17 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - ぷく顔信者さん» はじめまして!コメントありがとうございます。今のところ自分の作品はイニシャルを入れずに伝えたいな、と思っており、入れずに進める方針です。読みづらくなってしまい申し訳ないのですが、誰が話しているのか考察して欲しいな、という作者の我儘です。ごめんなさい! (2021年2月1日 20時) (レス) id: 4cc456b6d8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - 初めまして!まだ数話しか更新されていませんが、楽しく読ませてもらっています(´˘`*) 差し出がましいのですが、鍵かっこの初めに誰が話しているかわかるようにイニシャルなど入れていただくことは可能でしょうか…? (2021年2月1日 19時) (レス) id: 802ab26e17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青空と虹 | 作成日時:2021年2月1日 0時