検索窓
今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:41,800 hit

さよならのシーン【緑】15 ページ7

ぴぴぴぴぴ


朝、目覚ましが鳴る



「ん…」


「…ただよし、起きないと」


「…もぉちょい…」



目を開けると彼の顔が目の前にある


下にしている右頬が枕に押し付けられていて

瞼を閉じてむにゃむにゃと呟く




「…もうあと15分くらいでお迎えきちゃうよ、シャワーしなくていいの?」


「ん…ええから起こしてぇ?」


彼が目を瞑ったまま むーっと、唇を突き出す


私は、目覚めたての乾燥した唇を彼に押し当てる



ふふふと私が笑うと彼も笑う、目を閉じたまま


朝の光


また彼がむーっと唇を突き出すから、私はまたちゅっと唇を押し当て


何度もそれを繰り返す


白いシーツ



くすくすとふざけていたら



「ふふ…ほら、あと8分」



「ん…」




…彼が目を開けた。



「ーー…」



…綺麗な瞳だった


何度見ても私はその瞳に心臓を掴まれる





「…あと何分やって?」



彼が左手を伸ばす

向き合って寝転がる私の右耳にふわりと触れる



「…あと8分」



「ん…なら、」



ーー…



彼ががばりと起き上がって、私に覆いかぶさる



「ん…、」




「…一瞬だけ入れてええ?」






ーー…



…ぴんぽーん



「…やば、来た」


「んっ…、」



彼は慌てて私から這い出て、よろよろとインターフォンへ歩き出す


“今起きたから車で待ってて”と告げ、3分でシャワーを浴びる


私は服を着て玄関に座り靴紐を結ぶ彼の背中に声をかける



「今日は遅いの?」


「んー、どうやろ、連絡するわぁ」



靴を履き立ち上がる、ドアノブに手をかけ、僅かに開いた隙間から差し込む向こう側の光ーー…





…彼が出かけて帰るまでの間、私は彼をただ待つだけの人間になる





「あ」


…彼が振り返る



「ん…?」


「…続き、夜するな」


「ふふ、うん、いってらっしゃい」



…そんなことが幸せだったはずなのだ、



とても。

さよならのシーン【緑】16→←さよならのシーン【緑】14



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (169 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
426人がお気に入り
設定タグ:関ジャニ∞
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Aki(プロフ) - 初めまして。たまごさんの作品には芯と真があって、心を抉られながらもその毒性ある棘を触ってしまいます。素敵な物語、されど味わったことのある表現できなかった過去の感情が溢れてきて、気持ちの整理が少々追いつきませんが、素敵な作品をありがとうございます。 (2019年10月24日 1時) (レス) id: 25a44a4956 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 『さよならのシーン』 うまく言えないけれど、切なさで胸がドキドキして泣きそうでした…素敵なお話ありがとうございました♪ (2019年10月23日 3時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - つい一気読みしてしまいました。切なくて胸がいっぱいになりました。たまごさんの作品はいつも心にスッっと響くものばかりで感動しています。次の作品も楽しみにしています。 (2019年10月23日 1時) (レス) id: cfcb601f80 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たまご | 作成日時:2019年10月22日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。