さよならのシーン【緑】２５ ページ17
“…ねえ”
“んー？ 何ぃ？ あ、ちょっとそこんティッシュ取って？ 鼻水出そうやわぁ”
“…今日 地球が爆発したらいいのになあって”
“ははは、なんで？”
“だって隣に忠義がいて、外は霧雨で閉じ込められてて静かで、死ぬなら今みたいなタイミングが最高なのに”
“…死ぬ時に最後に一曲流せるとしたらお前なんの曲や言うてたっけ”
“うーん それずっと悩んでるんだよね、この間ビートルズの『ゴールデンスランバー』から『The End』までの流れとかいいなと思ったけど、あれメドレーになってるから一曲じゃないし”
“はは、せっかくやったら今流しながら寝よう思ったのになあ、もーすぐ地球爆発するかもしれんし”
“…はいはいごめんねひとりだけ盛り上がって。ティッシュゴミ箱に捨てるから、ほらそこに置きっぱにしないで”
“…死ぬまでに決めりゃええやろ”
“え…？”
“死ぬまでに決めてくれれば俺がかけたるから、そん曲”
“…忠義より私のほうが先に死ぬの？”
“わからんけど、俺が先に死んだらまあラジオ体操第一でもかけといて、反射的に起きるかもしれんし、ははは”
“ははは、情緒ゼロで却っていいかもね”
“…A”
“ん…？”
“…いや、好きやなあ思って”
“…うん”
“うわ、そんだけえ？ 言うて損したわあ”
“…ううん、愛してるよ”
“ははは、ほんまにかー？”
“…うん、忠義がいれば他に何もいらないくらい”
“…ふうん”
“うん…ほんとに他に何もいらないなあ”
“…俺も”
“ふふ…おやすみ”
“ん、おやすみ”
『さよならのシーン』終
続く (更新停止中)
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Aki(プロフ) - 初めまして。たまごさんの作品には芯と真があって、心を抉られながらもその毒性ある棘を触ってしまいます。素敵な物語、されど味わったことのある表現できなかった過去の感情が溢れてきて、気持ちの整理が少々追いつきませんが、素敵な作品をありがとうございます。 (2019年10月24日 1時) (
レス) id: 25a44a4956 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 『さよならのシーン』 うまく言えないけれど、切なさで胸がドキドキして泣きそうでした…素敵なお話ありがとうございました♪ (2019年10月23日 3時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - つい一気読みしてしまいました。切なくて胸がいっぱいになりました。たまごさんの作品はいつも心にスッっと響くものばかりで感動しています。次の作品も楽しみにしています。 (2019年10月23日 1時) (レス) id: cfcb601f80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2019年10月22日 23時
