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「あ、あのっ、まず飲み物でも取ってきましょか?」
『っ確かにっ。ついでにマンガも取ってきましょっ』
何もない空間。至近距離で見つめ合う会話にいてもたってもいられなくなって そそくさとブースを出た。
「今日は何読まれる予定でしたん?」
『今日は"TIMERS"のフルカラー限定版を読もうと思ってたんですっ♪隆平くんは?』
「わぁお、気が合いますなあっ♪僕は"戦国夢想"の完全版が読みたくなったんですっ」
『ここのいいとこってこーゆーマニアックな品揃えですもんね♪』
「そうそうっ!なのに…ってコレまたネチネチ始まってまうやつやんなぁ?」
『ふふっ、自分で言ってるっ』
「ホンマや、認めてもうたっ。」
「なんちゅーか、アニメという完成された世界観もええんですけど、時々無性に自分の中の理想の声で名シーンを再生したくなるときってありません?」
『あるある!今日まさにそれ!!』
「声優さんも勿論ええねんけどね♪」
『こないだの眞崎様の声もヤバかったー♪』
「あのセクシーボイスは国宝やもんねぇ♪」
二人きりの密室を出た途端にお互い会話が止まらなくなって、
ワイワイ言いながら完結済みコミックの完全版やハードカバーになった特別版が揃うコーナーに行って、目的の作品に手を伸ばす。
いつもの距離感に戻ればやっぱり気楽だなぁなんて思った直後に、
「ほれ 貸して。」スッ
『えっ、でも、』
「Aちゃん、ジュース頼んでもええ?」
「ボク、オレンジジュースがええです♪」
『あっ、はい』
「どうぞ、姫♪」
『すみませんっ、』
「急がんでええですよ、こぼさんように気をつけて♪」
なんて、ハードカバーの重い完全版の本の束を片手で軽々と持って、ブースのドアを片手で押さえながら紳士な笑顔を見せたりするから、やっぱり少し戸惑ってしまう。
でも隆平くんは素知らぬ顔でオレンジジュースをくいっとひとくち飲んで、
「ささっ、読みふけりましょーぞ♪」
ニコニコしながら足元に積んだ漫画を取って、ボスッとソファーに腰かける。
「ああっ、この凛姫っ♪ホンマに名の通り凛として美しやっ♪」
「竹千代が終生に渡って忠誠を誓う気持ちが解るわー♪」
その一連の動作が振動となって私の身体に伝わってまたこの空間を意識してたり、
屈んだ時にフワンと香ったシャンプー?柔軟剤?の香りが思わず私の動きを止めた事なんて知らずに。
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がくたん(プロフ) - むあさん» こんにちは!とんでもない鈍レスで大変申し訳ありません(深謝) 未曾有の事態により肉体的にも精神的にも時間的にも余裕なく、お話を書ける状態にありませんでした。時間はかかりますが、いつか必ず再開したいと思ってますので気長にお待ちいただけたら嬉しいです。 (2020年7月4日 11時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
むあ(プロフ) - こんにちは。いつも楽しく拝読しております。まるちゃん!言いそう〜言いそう〜と、ニヤニヤ、キュンキュンしてます(笑) (2020年3月13日 17時) (レス) id: 9ee18250ed (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - sangozygoさん» さんごさーーん!まさかのオレンジやろ!?こないだの堕ちまくった大倉くんが浮かんで、つい緑に変えてしまおうかと思ったのはここだけの話(笑) これから映画のプロモで露出が増えるから、さんごさんの脳内(ストーリー製造機)もフル回転よね!←期待とおねだり(笑) (2020年2月14日 6時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
sangozygo(プロフ) - がくたんさぁぁーーーん!!不意打ちオレンジ!!そしてヲタク!!楽しみだなあ。楽しみ過ぎるなあ!! (2020年2月13日 22時) (レス) id: 5fab4b2048 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - むあさん» 早速奥さまからコメントをいただけるなんて、幸せの極みであります!ほっこりキュンキュンできるお話になるよう頑張りますので、どうぞ宜しくお願い致します! (。-人-。) (2020年2月13日 17時) (レス) id: bb2764f922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がくたん | 作成日時:2020年2月13日 17時