陽だまりのうた

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「いやもうホンマにっ、ダメなんですよボクっ。」





手汗が酷いのか何度もズボンで拭いながら一生懸命に話すこの人と、何故か向かい合って座る談話スペースのテーブル席。



また他のお客さんに迷惑になるとまずいからと、どちらともなく誘いあって 今に至る。







「２次元の世界に浸って生きてきてしまったから、生身の女の子の前やと上手く話せなくってっ。」



「上手くやろうと思うほどに空回りしてもうて、気付くと皆引いてるしっ、」







って、またマグカップの白湯をぐいっと煽って、あちゃっ！て小さく声を上げる。




、、、男の人ってこんなだったっけ？




料理メインの女社会とはいえ一応IT関連のわが社で、カースト上位のキラキラ女性社員の熱視線を一身に浴びるイケメン男性社員集団しか知らない私にとって この人は別人種に思えた。




何とも言えない必死さと相反するコミカルさが ちょっとドジなヒロインの友達のような。
そう、ちょうどカザネちゃんの親友・ナツメみたいな。
そんな 親しみやすさに溢れていたから、






『…いえ、私も生身の男の人って苦手なので、その気持ちよくわかりますし、、』




『一生をカケルくんに捧げて生きてくって思ってるぐらいですから、、、』





って思わず 誰にも話した事ない本音をクチにしてしまった。





そうしたら、






「ええっ！そんなん勿体ないっ！！」




「そんなに可愛らしい お顔してはるのにっ！」




「せめて "心の扉を閉めないで！"」







って まさかの最新刊のナツメちゃんの台詞を言うから、





『ここでナツメが来るとは…、、』






私の心の琴線に触れて思わず感嘆のため息を漏らしてしまった。



そんな私をよそにまた、






「あぁっ、じゃあっ、こーしましょっ！」



「ボクたちが お互いお話できるよーになれば、それぞれ免疫が出来て克服できるかも知らんし！」



「やからたまにはこーしてお話したりなんかしてっ、」



「そう、やからっ、いわゆる、そのっ、」




「ぉぉぉ、ぉともだち、…ちゅうかっ、、」







ってひとりで盛り上がるこの人と、






「どうやろかっ！？」



「なぁっ、、、………っ、」




「…っ、、、」





『？』




「ぁのぉ、ぉなまぇ、、、、」






『…あはっ』



『水上 Aです、』


「っAちゃあんっっ！」




「ボクっ、丸山隆平言いますっ！！」







…もとい、丸山隆平くんと、
晴れて オトモダチになった。

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