陽だまりのうた

3 ページ3

・



『これとこれと…、よしっ♪』




数日後。
いつものようにお目当ての単行本を抱えてドリンクバーに向かうと、




『…あ、、』




ドリンクサーバーの前に こないだの人。
"カケルくんを尊ぶ同志"って事は解ったけど、生身の男性相手にどうリアクションをとったらいいか解らないから後にしようと思って引き返しかけたとこで、




「あぁっ、こないだはどうもスンマセンでしたっ」





エクボを浮かべて微笑まれた。





『…ども、、です…。』




「あれからお会いせぇへんかったから、来づらくなってもうたかなぁって気になっててっ、」

『あ、いえ、大丈夫ですっ』




『……ちょっと仕事が忙しくて来られなかっただけで…、、、』





…ーちょっと食いぎみに返事してしまって、感じ悪かったかなぁって後悔したけど。



その人は 更に目を細めて、




「よかったぁ」




って ふにゃんと微笑んでくれた。

そして、





「あっ、どうぞどうぞっ」





って、ささっとカップをどかしてくれた。



小さく会釈してサーバーの前に立って
いつものように炭酸水のボタンを押す。





ｺﾎﾟｺﾎﾟｺﾎﾟ…





『…、、、』





まだ左側に感じる人の気配。
恐る恐る目線を動かすと、マグカップを手にニコニコしながらこちらを見てる。



…どっかいかないのかな、、


私の戸惑いをよそに全く動く気配のないこの人。




ちらっとカップの中身を見ると見るからに白湯だし。
あぁそっか きっとカップを温めてる途中だったのかも、、




『えと…、あの、』




「はい？」




『あの、終わりましたんで…。スミマセン、横はいりして、、、』






そう声を掛けると、




「へ？」




キョトンとした顔。






『あの…、だってそれ お白湯…、、』






ホカホカの湯気の立つマグカップを指さすと、





「ああっ、いやいやっ！」



「ボクたまに白湯飲むんですっ」




って言うやいなや、ぐいっと気前よく流し込んで、




「あっちゃっ！！」





ってジタバタし始めた。
そして、






「なんか勝手にツレ風に待ってもうてっ、」



「何でやろっ、馴れ馴れしいですやんなぁっ、ホンマにスンマせんっ///」



「はぁーもぉ何で俺ってこうなんやろっ、ガッデム！！！」





『…、、、』





呆気にとられる私を置き去りにまた一人芝居して ハッと我に返って、






「…重ね重ねスミマセン、、」






バツ悪そうに眉を下げた。

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す