50話 ページ10
部屋は、いつの日か訪れた調査兵団本部の執務室程ではないが、それなりに広々としているし、どうやら2部屋あるようだ。
一年間ここの区の駐屯兵として過ごしていたが上司の部屋を見た事がなかった。
まだ調査兵団がここに来てから数日しか経っていないが、リヴァイ兵長の机の上には既に沢山の資料がある。部屋の家具は備え付けのもので、机と、その備え付けの椅子、小さい本棚に、小さいクローゼット。もうひとつの部屋にはベッドとまた小さいテーブルが一つ。
「広いですね」
「お前の部屋と違うのか?」
「はい、自分が使ってる部屋は元々4人用の部屋で、そこに1人で使ってます」
「1人で使えるのか」
「こっちの兵士の人数は少ないので、5年前はとても多かったらしいんですけど」
「そうか」
彼はそう言いながら、首に巻いていたクラバットを解き、上着を脱ぐと身体中に張り巡らされているベルトを解いた。
「座る場所ねぇからベッドんとこ座っとけ、着替えたら行く」
「はい」
1人かつ個人用の部屋だから、応接間の様に客人を迎えるソファも対面して座れる椅子もない。
僕は兵長に言われた通り、寝室のベッドの隅に腰を下ろした。
もしかしたらベッドの質まで違うかもしれない、ふわふわだ。
先程の部屋でも感じたが、とても清潔感がある。彼は潔癖だと言っていたから、もしかしたら改めて掃除したのかもしれない。
ベッドのシーツもピンと伸びきっており、座る時に少し躊躇ってしまった。
「大丈夫か」
寝室に入ってきた彼は上の服だけ着替えたようで、黒いVネックの服を着ていた。
僕の隣に腰を下ろす。
「大丈夫ですよ?」
なんの確認か分からなくて、語尾が変に上がってしまった。
「たまにああいうのがいる。さっきも言ったが、ちゃんと拒めよ」
宿舎の入口で絡んできた調査兵の事だろうか。
「はい、気を付けます。さっきはありがとうございました、来てくれて助かりました」
「お前なら俺が来なくても大丈夫かと思ってたが」
「ちょっと吃驚しちゃって」
「お前は肝が据わってるのか据わってないのか分からねえな」
「だって、知りもしない男性からいきなり来られたらどうしたらいいか分からないですよ」
思い出すとまたぞわりと体に嫌なものが走る。
今後の訓練で接触する機会が無いといいと思ってると、いつの間にか後に腕を回されて居たのか、反対側の肩を抱かれると引き寄せられた。
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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時