36回目。 ページ36
.
｢あのね｣
｢はっ、はい、｣
｢…別に、気遣いとかじゃないよ｣
耳元で聞こえたその声に、抱きしめられているこの空間は現実なんだなと再確認する。
気遣いじゃない、というそれは、昼の会話からだ。
きっと全部聞いてたんだろうな。
でもあれが気遣いじゃないというのなら、何？
さっとすぐに離れると、緑谷くんはさっきと変わらず笑って、ごめんね、迷惑かけました、と微笑む。
本当の、本当に、余計な迷惑だ。
｢ねえ、｣
さっきより離れた距離で声をかけるけど、下を向いているせいで彼の顔は見えない。
私は今きっと真っ赤になっているはずだ。
耳まで熱くて、これが夏の暑さなのか体温なのかの見分けは付きにくいところ。
｢…期待、するけど、｣
｢していいよ｣
｢さっきから、何、考えてるの？｣
｢ヒーローになったら、教えるから｣
いつまでそれに縛られているんだろう。
ヒーローになれるまでって言ったのは、何時かの私だったのかもしれない。
もしそれが私たちの距離の正体となっているのならば、どうすれば。
｢…待てるかバカ。｣
聞こえないくらいの声で呟いたから、彼は私の方を見る仕草は見せなかった。
.
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百合(プロフ) - オワリ...end......終..........ﾍｯ、おわり？？？？嘘でしょ...お気に入りして一生更新待ってます..... (12月16日 4時) (
レス) @page38 id: 587110230b (このIDを非表示/違反報告)
人未(プロフ) - 主人公さんが凄く魅力的で、緑谷くんとの関係も大好きです！ (2023年3月12日 22時) (レス) id: 7a0cc58a20 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - あのもう終始にやけているのですが、これは神の領域の小説ですね。ありがとうございます。 (2021年8月14日 3時) (レス) id: 56fe7289ff (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - え？？？神ですか？あ、神ですね！( ´∀`)ﾊﾊﾊ好きです（唐突な愛の告白←） (2021年7月7日 19時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 凄いきゅんきゅんするとこで終わってる！！めっちゃいい所で終わってて心臓がキュッってなりました！笑 オールマイトの「あの二人脈アリなんじゃないか」のセリフちょっと面白い()更新待ってます！ (2021年3月4日 0時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：八尋 | 作成日時：2017年10月12日 21時
