待って ページ41
炭治郎が凄い。
ヒノカミ神楽を使い続けている。
あれだけ反動の大きい技なのに。
伊黒、炭治郎と三人で立ち回り、Aたちは無惨の逃亡を阻止することに成功していた。
突如、無惨の腕の筋肉がブワッと膨らむ。
炭治郎が叫んだ。
「無惨が分裂する。細かく飛び散って逃げる！！」
『え！？』
Aはつま先で踏ん張り立ち止まる。
(そうか。無惨がここに残っていたのは鬼殺隊を壊滅させるため・・・。でも自分が危なくなれば、いつでも逃げる準備はできていたんだ。)
頸を斬ればいいのか。
それとも細かく攻撃を入れた方がいいのか。
(考えろ・・・どうすれば逃げられない？どうすれば無惨をここに留められる？)
膨らみ続け、もう分裂してしまう。
身構えた瞬間、無惨の膨張が止まった。
ズズ、と逆に収縮し、吐血。
(何？なんだろう。何はともあれ助かった！)
無惨も弱体化してきている。
ピタリと動きを止めた無惨。
ド、と閃光とともに衝撃波を出した。
(また、この攻撃！！大丈夫。今度は勢いを殺して・・・っ！)
広範囲の技だ。
避けきれない。
地面に叩きつけられた。
立ち上がれ。
そう念じる。
体が動かない。
血を失い過ぎた。
(立て。無惨が、逃げる前に。)
「獣の呼吸 四の牙 切細裂き」
Aの耳に、伊之助の声がくぐもって聞こえた。
「よくも。やって、ぐれたなぁ。許ざねぇ。」
(伊之助君、生きてる。)
だが言葉が途切れ途切れだ。
息切れもしている。
こんな状態の伊之助一人で、無惨の相手はできない。
「俺たちを庇って数珠のオッサンの足が千切れた。あっちこっちに転がってる死体は一緒に飯を食った仲間だ。」
伊之助が言った。
(・・・？無惨の攻撃が来ない？)
「返せよ。」
叫んでいるのではないのに、やけに大きく響く。
声が湿って震えていた。
「足も手も命も全部返せ。それができないなら百万回死んで償え！！」
戦闘が始まる。
(助けなきゃ。)
確実に弱った無惨でも、何があるかわからない。
ドンッと踏み込む音がした。
(これは・・・善逸、君。)
何か叫んでいる。
(水の中にいるみたい・・・よく聞こえない。)
急に近くで低い声が聞こえた。
「A、あとは俺に任せろ。」
(師範。)
行かないでほしい、なんて言えない。
(待って師範、私も行く。)
冨岡を守る。
身を挺してでも。
声が出ない。
思いが通じるはずもなく、冨岡は戦場に駆けて行った。
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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (
レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2024年3月9日 9時
