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赫刀 ページ40

「伊黒ーっ!体を注視しろ」

悲鳴嶼が叫んだ。

「見え方が変わらないか。他の者でもいい!!体が透けて見えないか。」

(体が透けて・・・?)

無惨に集中しようとした次の瞬間、Aは冨岡に抱えられ、後方に叩きつけられていた。

冨岡が衝撃を和らげてくれたのに、体が動かない。

冨岡自身は意識を失っている。



(今の、攻撃。)

何が起こったのだろう。

速すぎる。

Aがいなければ、冨岡の右腕がなくなっていた。

庇えたのはほんの偶然。

一瞬、冨岡の前を横切っていたからだ。

背中を切られた。

傷が深い。

出血が止まらない。

Aは浅い呼吸を繰り返した。

(動け。早く、動け。)

足に力を入れようとすると、背中の傷がピキリと痛んだ。

無残が逃げてしまう。

早く。

早く動け。

他の柱はもっと傷が深いかもしれない。

Aがやらなければ。

(伊之助君・・・善逸くんは?カナヲちゃんは・・・?)

死ぬ間際、刀を赫く染めた時透が脳裏に浮かぶ。

Aにだってできるはず。

震える腕を伸ばした。

刀の柄を握りしめる。

ギシギシと音がした。


「動けるのか。」


背後から声をかけられた。

驚きに揺らいでいる。

『ぁ・・・だれ?』

口の中が渇いている。

Aは唾を飲み込み咳払いした。

「喋るな悪化する。」

声の主はてきぱきとAの傷に応急処置を施す。

「血清打つぞ。」

先程、猫が届けてくれたのと同じ薬をAに打った。

「炭治郎が戦ってる。」

ぽつりと呟く。

「頼む。」

淡々と状況を伝えていたのが、懇願するような声になった。

炭治郎を助けてやってくれと、絞り出すような必死の響き。

『ありがとうございました。』

ユラ、とAは立ち上がる。

声の主の姿を見ることができた。

手当てしてくれたのは、不思議な雰囲気の男の子だった。

『大丈夫。ちゃんとやるから。』



向かった先では炭治郎と伊黒が戦っていた。

「A!」

伊黒が叫んだ。

鏑丸と視覚を共有しているようだ。

『遅くなりました。』

Aは刀を抜き放つ。

『玻璃の呼吸 四の型 揺蕩い桜雨』

二人に向かった攻撃を防いだ。

無惨の再生は遅い。

Aの赫刀も効いている。

「常に挟むよう立ち回れ!!絶対にここから逃がすな。」

伊黒がAに指令する。

『わかりました。』

Aは深く息を吸い込んだ。



(負けることは許されない。何がなんでも役に立て。・・・私は水柱、冨岡義勇の継子だ!!)

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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時

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