猫さんの薬 ページ38
「水の呼吸 参の型 流流舞」
ドガガっと連撃の音がした。
冨岡が庇ってくれたのだ。
片身替の羽織の向こうに折れた刀が見える。
Aは呼吸で止血し体勢を立て直した。
伊黒が戻って来た。
斬撃と同時に蹴り上げて切断面を離し、即再生するのを阻む。
Aも伊黒に倣うが、それでも再生が速い。
大した時間稼ぎにならない。
無惨の体中にある、口の吸息が厄介だ。
蜜璃を傷つけた攻撃。
避けるためには大振りな動作が必要で体力が奪われる。
無惨の腕を斬ろうとした冨岡の刀が手から離れた。
握力が持たないのだ。
もうとうに限界を越えている。
なりふり構わず師範の元へ向かう。
(間に合わない！)
思った瞬間、無惨の腕が斬れた。
伊黒と悲鳴嶼だ。
逆に隙が出来てしまったAを実弥が救った。
「ボケッとすんじゃァねぇ！！ブチ殺すぞォォ！！」
『はい！！』
『玻璃の呼吸 伍の型 天弓燦々』
水の呼吸の剣士の刀を拾う。
咥えて宙返り。
反動をつけて無惨に攻撃を入れ、冨岡の近くに着地した。
『師範！』
Aの意図を汲み取って、刀を手に取る冨岡。
背中合わせに構えた。
「水の呼吸 参の型 流流舞」
『玻璃の呼吸 漆の型 銀花』
戦闘を再開した冨岡が吐血した。
ほぼ同時にAの口からも血が溢れる。
Aは浅く呼吸する。
無惨の攻撃に何か混ぜられていたらしい。
体中の鈍痛は怪我だけのせいでなかったのだ。
必死で回復の呼吸をしようとした。
(皆が繋いでくれる一瞬で呼吸する。じゃなきゃ潰れる！)
不意に、無惨の頭上に猫が現れた。
呆気に取られるA。
瞬きのうちに猫が背負っていた袋から注射器が飛び出し、Aに刺さる。
(無惨の反応からして、敵方の配下ではない・・・なんだろう。)
猫は無惨に胴を割られて落ちた。
注射器の中の薬品が体に入ると、鈍痛がすっと引いた。
他の柱たちも不思議そうにしている。
だが、助かった。
「無駄な足掻きをするな！！潔く死ね亡者共！！」
無惨の攻撃が勢いを増す。
『玻璃の呼吸 壱の型 薄玻璃旋風』
Aはすれすれで躱していく。
視界の隅で伊黒が動きを止めた。
(・・・伊黒さん？)
「伊黒ーっ！！」
実弥が叫ぶ。
やはり危険な状況なのだ。
冨岡の助太刀が間に合わない。
やられてしまう。
だが無惨の攻撃は届かず、伊黒は宙に跳び上がった。
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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (
レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2024年3月9日 9時
