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緊急招集 ページ32

「今度から懐におはぎを忍ばせておいて、不死川に会うときあげようと思う。」


そうしたらきっと仲良くなれると思う。

そう言ってムフフ、と笑う冨岡。

(いやぁそれは・・・)


「俺もそうします!」


首を捻るAが何か言う前に、炭治郎が元気よく応えた。

(炭治郎君、止めて!そこは止めて!)

まあこういう場合、炭治郎から常識的な方の返答が出るとは思っていない。


『それは止めておいた方がいいと思いますよ。』

Aは優しく微笑んで言った。


特に炭治郎。

Aは心の中でそう付け足す。

柱稽古のときからそうだが、不死川とは本当に相性が良くない。


「そうなのか?」


三角座りの冨岡が純粋な瞳でAを見上げた。

『おはぎ好きのこと、あまり知られたくないようでしたので。』

特に炭治郎。


冨岡はしゅんと肩を落とす。

Aはなんだか悪いことをした気分になった。

その代わり、でもないが、今日の夕飯にも鮭大根を追加してあげよう。



炭治郎が来てから、水柱邸の食事はAと炭治郎の二人で作るようになった。

仲良く台所に立つ二人を、冨岡は少し離れて嬉しそうに見守る。

いつも通りに夕飯を食べ終えたところで、大慌ての鎹鴉が舞い込んできた。


「緊急招集ーッ!緊急招集ーッ!」


三人は反射的に刀を取る。

目を見開いて鴉の口から発される次の言葉を待った。


「産屋敷邸襲撃ッ・・・産屋敷邸襲撃ィ!」


真っ先に動いたのは冨岡だった。

飛ぶように走る冨岡を、炭治郎とAが追う。


わかっている。

この時が来ることは、ずっと前からわかっていた。

(それでも穏やかな日常が、ずっとずっと続けばいいって、心のどこかで願ってた。)

終わりにしよう。

大切な人たちを傷つけた、無惨は絶対に許さない。

(そして師範だけは私が、絶対に守る。)


ドンッと爆発音がして、山の向こうから火が上がった。

(!?・・・産屋敷邸が)

炭治郎が鼻を覆っていた。

冨岡が足を止めて立ち尽くす。


『師範』


Aは一歩前に出た。

『行きましょう。』

「・・・ああ」

(お館様には間に合わなかった。)

きっとこのこともお館様の計画のうちなのだろう。

守れなかったからと言って終わりではない。

鬼舞辻無惨を倒しに行かなければいけないのだ。

焼け落ちる産屋敷邸の中心に、一人の男性が立っていた。

(あれが!)

心臓がドクンと脈打った。

『鬼舞辻無惨!』

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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時

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