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おはぎ事変 ページ31

二本の木刀が合わさって、二本とも折れた。

木刀を投げ捨てた不死川が言う。


「よォし、じゃあ次は素手で殺し合うかァ」


(おおう?)

ボキボキ指を鳴らしているところを見ると本気なのだろうか。

柱同士の手合わせは何度か見せてもらったが、体術は見たことがない。

Aは思い返す。

確かに、刀が折れてしまった時の対応を考えるのは大切だ。

柱ならばどう対応するものなのだろう。


Aが考えていると、草むらに隠れていた炭治郎が飛び出してきた。


「ちょっと待ってくださいよ、殺し合ったらいけませんよ!」


そう言った炭治郎は二人の間に割り込んで、冨岡を守るようにバッと手を広げる。


『ぐっ・・・!』

思わずAは吹き出した。

大まじめでおはぎの取り合いなのかと聞く炭治郎。

ふざけていると言った不死川に、炭治郎は滔々と話し続ける。

稽古中に抹茶とおはぎの匂いがしていたのはわからなかった。

さすがは炭治郎である。

だからといって本人に言うのはどうだろう。

そもそも接近禁止になっている二人なのだから。


不死川は俯いて固まっていた。

図星なのだろう。


「不死川は・・・おはぎが好きなのか・・・」


いつもの表情で炭治郎と不死川を見守っていた冨岡が、ぼそっと言った。

(駄目駄目、笑っちゃ!あ〜でも、もうダメ・・・)

真っ赤になって笑いを堪えているAを軽く睨みつけ、不死川は踵を返す。

不死川の内心に気づいていないのか、炭治郎は追い打ちをかけた。


「おいしいですよね!おはぎ。こしあんですか?つぶあんですか?」


そろそろ止めた方が良い。

Aが腰を浮かせた瞬間、ボギャ、と炭治郎が飛んだ。

反応できない速度で、不死川に殴り飛ばされたのだ。

(あ〜あ〜)

Aは炭治郎に近寄って、頬をぺちぺち叩いた。


『あ・・・不死川さん、帰っちゃいましたね。』

炭治郎の頭に羽織を敷いてあげている冨岡に声をかける。

「不死川はずっと怒っていたから。」

『今のは師範にも非があると思いますよ。・・・まあ炭治郎君か・・・。』

いい奴なのだが、ズレているというか。


二人で顔を覗き込んでいると、炭治郎がパチリと目を開けた。

ガバッと身を起こして不死川の行方を尋ねる。

冨岡はかなり言葉足らずに答え、柱同士の手合わせについて説明した。

きちんと会話できていることに安心するA。

続いた言葉を聞いたAは、やっぱり駄目だと頭を抱えた。

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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時

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