岩を一町押す修行 ページ27
丸太を担げるようになったので、Aはこれから岩を押す修行だ。
その前に、昼食に炭治郎が焼いた川魚を食べている。
料理は火加減というが、炭治郎が焼いた魚は焦げてもいないしとてもおいしい。
ちょっと悔しいAなのだった。
悲鳴嶼のところの修行では、みんなで色々な話をした。
中々合格できない上に同じ釜の飯を食べるのだから仲良くなるのは自然なことなのだろう。
「そういえばA、義勇さんはどうだったんだ?」
魚を渡してくれた炭治郎が尋ねる。
ええと、と首を傾げるA。
『師範の継子ではいられることになったよ。時透さんの提案だったみたい。師範の話についてはまだ、教えてくれなくて。』
「そうなのかあ。」
喜び半分、もどかしさ半分といったところだ。
炭治郎も複雑な表情で頷く。
『炭治郎君が羨ましいよ。』
Aは三角座りで腕に顔を埋めた。
「何があったの?」
驚いてこちらを振り向いた善逸。
Aは簡単に事情を説明する。
「それってさ、格好つけたいんじゃないかなぁ。冨岡さんも、Aちゃんの前ではさぁ。」
話を聞いた善逸はそう言った。
『え?』
目を瞬かせるA。
慌てて善逸は腕を振り回す。
「俺がそう思うだけだからね!冨岡さんがどんな人なのかは全然知らないし・・・でも俺ならそうかもなぁなんて。」
自分の昔の話をするのってさ、勇気がいるじゃん?
そう付け足した。
善逸は音を聞いて、人がどんな気持ちでいるのかがわかる。
冨岡と会ったのは蝶屋敷でくらいだが、Aといる時にはとても幸せそうな音がするのだと言う。
「あの人がAちゃんを除け者にするなんて思えないんだよな。」
心臓が鳴った。
(いやいや、あくまで善逸君の考えだから。そうとはかぎらないよね。)
やっぱり言いたくない理由は他にあるのかもしれない。
だが、善逸の言う通りだとしたら。
(かわいい。)
Aはクスッと笑った。
『許す。』
「え!?何?俺なんか駄目なこと言った!?」
いやいや違うの。
Aは手をひらひら振った。
『そういう理由だったら、師範が話してくれなくてもいいや。』
「本当かどうかはわからないよ?」
『うん。でも、元気出た。ありがとう。』
善逸はパッと笑った。
『さあてそれじゃあ、岩押しますか!』
炭治郎に礼を言って立ち上がる。
「うえ〜Aちゃんまで!もうヤダ!」
善逸の笑顔はあっという間に泣き顔に変わった。
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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時