岩柱の悲鳴嶼さん ページ26
『不死川さんは玄弥君のこと、まだ大切に思っているんじゃないですか？』
目を見開いた実弥。
しばらく間があった。
「俺には弟なんていねぇ」
『・・・本当に他人と思っているのなら、弟って言葉は出て来ないと思うんです。』
だからと言って、何が正しいなんてあるわけがない。
ただ自分の思うことを伝えたいと思った。
『私たちは鬼殺隊員です。明日をも知れぬ命です。だから今のうちに、したいことはしておいた方がいいんじゃないかと思って。私は不死川さんにも、幸せになってほしいです。』
夜の静寂が辺りを包んだ。
「お前ももう行け。」
出し抜けに実弥はそう言った。
「明日の朝には悲鳴嶼さんとこに行け。」
『そうですか。』
Aは瞑目する。
ゆっくり息を吐く。
吸うと同時に立ち上がった。
『差し出がましいことを言って申し訳ありません。』
悲鳴嶼の修行場はかなりの山奥にあった。
到着したAは、滝に打たれている炭治郎、善逸、伊之助を発見する。
あれがここでの修行なのだろうか。
ぬっと現れた悲鳴嶼が説明してくれた。
ここでは、まず最初に滝行。
次に丸太担ぎ。
最後に岩を一町押す修行をするらしい。
川の水に触れたAは即座に理解した。
(あ・・・これ、普通にやってたら駄目なやつだ。)
炭治郎たちは気合いでなんとかなるのかもしれないが、Aは無理だ。
筋力の男女差はどうしたってある。
なんとか滝行を終わらせたAは、岩を押している悲鳴嶼を観察した。
「あの、Aさん。」
玄弥が後ろから声をかける。
向こうから話してくれるとは。
Aはくるりと振り返った。
『玄弥君。Aでいいよ。』
同期なんだし、敬語もいらない。
Aがそう言うと真っ赤になって、ぎこちなく喋り出した。
「ごめん、迷惑かけちゃって・・・Aが兄貴のとこ抜けたのも俺のせい、だよな。」
『玄弥君のせいじゃないんだよ。それに、そろそろ稽古も終わりだったし。』
それよりさ、と笑う。
『丸太持ち上げる方法知らない？悲鳴嶼さんがどうやっているのか知りたいの。』
「反復動作はやってる？」
玄弥はそう言って、短時間で一気に集中する方法を教えてくれた。
玄弥は悲鳴嶼は痛みや怒りの記憶を思い出す、など体温が上がるきっかけを持っているらしい。
『なるほど。やってみる。ありがとう！』
今回の修行も、案外なんとかなりそうだ。
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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (
レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2024年3月9日 9時
