不死川兄弟の仲 ページ25
稽古中に打ち付けた顔が腫れて痛々しい。
Aも立ち止まって、炭治郎の肩ごしに覗く。
炭治郎の目線の先では、玄弥が実弥を呼び止めていた。
「しつけぇんだよ。俺には弟なんていねェ。いい加減にしねぇとぶち殺すぞォ」
何も言えない玄弥。
実弥はさらに続けた。
「馴れ馴れしく話しかけてんじゃアねぇぞ」
呼吸が使えないなら鬼殺隊を辞めろ。
かなり強い口調でそう言う。
くるりと踵を返す実弥。
玄弥が弱々しい声で引き留める。
ずっと謝りたくて、とはどういうことなのだろう。
玄弥が鬼を食っていたことを明かした瞬間、実弥が憤激した。
一瞬のうちに目潰ししようとした実弥からは、炭治郎が玄弥を守る。
他の隊士まで巻き込んだ大乱闘が始まってしまった。
『不死川さん・・・！』
(あああ、どうすればいい？)
見た目は怖いが、実は優しい実弥のことだ。
こんなに手がつけられないほど怒るなんてこと、考えてもいなかった。
実弥にも理由がきっとある。
だが炭治郎も守らなければいけない。
今、実弥を止められるのはAだけだ。
『せぇい！』
掛け声とともに、Aは実弥の片腕を掴んで投げた。
馬乗りになってポカポカ殴る。
『何があったのかわかりませんが暴力は駄目です！みんな驚いているじゃないですか！』
周りにいた隊士たちが、ポカンと口を開けた。
「すげぇ、風柱様投げ飛ばしたぞ。」
「嘘だろ・・・どんだけ体格差あると思ってんだよ。」
その気になればいつでも形勢逆転できるはずの実弥は、呆気に取られた表情で大人しく殴られていた。
しばらく経って体を起こす。
「あ、あァ。悪かったなァ。」
そう言って、罰悪そうに頭を掻いた。
炭治郎は上から正式にお叱りを受け、実弥との接近禁止が言い渡されたそうだ。
風柱稽古はもちろん中断で、炭治郎は落ち込んでいた。
しかし、実弥と渡り合えていたところを見ると実力はついてきているらしい。
昼間あんなことがあったからだろうか。
目が冴えてしまったAは、少し風に当たろうと外に出た。
屋根の上に誰かいる。
登って行ってそっと覗くと、実弥がぼんやり空を見つめていた。
『不死川さん』
隣まで行って声をかける。
「Aかァ」
実弥は肩の力を抜いてこちらを振り向いた。
しばらく沈黙が続いた。
『あの、』
Aは話し出す。
どうしても気になっていたことがある。
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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (
レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2024年3月9日 9時
