稽古での役割 ページ24
『師範は馬鹿じゃありません。』
ムキになってAが言う。
「そこじゃねぇ。」
ムッとした様子で不死川も言った。
「どうせお前は俺の継子にはならねェ。だから痣状態でいる稽古を今、しなきゃならねぇんだろが。」
そのために伊黒にも頼んだのだ、と不死川。
え、とAは声を出した。
冨岡の継子でいられるように、不死川も考えてくれたのか。
「元々容姿も似てたけどなァ、最近じゃ身のこなしまで似て来やがった。安心しろ。どっからどう見ても似合いの二人だよ。」
Aは面映くなって目を逸らす。
頬を染めたまま礼を言った。
「そこでだがなァ」
不死川が本題を切り出す。
「テメェは俺と同じ側だ。」
Aは目を瞬かせた。
かかってくる隊士たちを相手する側だと言う。
『私では役不足なのでは?』
役不足も何もあるか、と叱られた。
ずっと痣状態でいられるようにならなければいけない。
そのためには手段を選んでいる場合ではないのだ。
ともかく、隊士たちが目覚めるまで二人で稽古しよう、と不死川は木刀を手に取る。
大きく息を吸って体温を上げた。
「おもしれぇ」
ニヤリと笑った不死川に、Aは打ち込んだ。
不死川と同じことは到底できない。
大勢の隊士を一度に相手する間、Aは必死で攻撃を捌かなければならなかった。
不死川よりは怖くない、と多くの隊士が掛かってくるから尚更だ。
あまり差があるときには不死川が加勢してくれた。
風柱稽古を始めて数日経つと、玄弥がやってきて兄である不死川に話しかける様子が見られるようになった。
玄弥は女性が苦手なようなので話しかけられない。
だから、Aは心の中で応援しつつ遠くから見守ることにしていた。
善逸とも合流する。
隙あらば抜け出そうとする善逸は不死川によく叱られているが、腕は立つ。
不死川もそこは認めているようだ。
稽古を抜け出した隊士を探しに行くのは基本的にはAの役割なのだが、善逸は不死川自身が探しに行く。
そうこうしているうちに、Aは徐々に痣の制御ができるようになってきた。
六日ほど経つと、炭治郎もやってきた。
初日からぼこぼこにされてしまう炭治郎。
なんとなく、他の隊士より当たりが強いような・・・。
不死川曰くまだ認めていないらしい。
確かに柱合裁判の折、真っ先に炭治郎に食ってかかったのは不死川だった。
(あれ、炭治郎君かな。)
稽古終わり、Aは立ち止まっている炭治郎を見つけた。
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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時