検索窓
今日:299 hit、昨日:188 hit、合計:12,607 hit

無限打ち込み稽古 ページ23

『私はやっぱり師範がいいです。』

「そうか。」

思いのほかあっさり冨岡は引き下がった。

どうしてあんなことを言ったのか、と尋ねてみる。


何てことはない。

時透の提案だったそうだ。

Aの玻璃の呼吸は、どちらかと言えば風の呼吸に近い。

ならば柱稽古の間だけでも、不死川のもとで稽古した方がいいのではないかと緊急柱合会議で言われたらしい。


「Aは不死川と仲が良いようだから。」


言及したのはこの間の焼き芋。

二人で並んで食べている姿が楽しそうだったから、ともごもごと言った。

む、とAは頬を膨らませる。

『どれだけ悩んだと思っているんですか!』

「すまない。すぐに言おうと思っていたのだが。」

『・・・師範は、私は不死川さんの継子になった方がいいと思いますか?』

「その方が良いのかも知れない。」

だが、と零す。

「我が儘が許されるのなら、俺の継子でいてほしい。」

今なら聞ける気がした。

『私、師範のこと何にも知らないんです。』

掴んだ羽織の袖を、きゅっと引き寄せる。

『師範はどうして鬼殺隊に入ったんですか?』

「炭治郎に聞いたのか。」

違う、とも言い難い。

こくりと頷いた。

「面白い話じゃない。」

その「面白い話じゃない」話が知りたいのだ。

Aの目を避けるように冨岡は視線を移した。


「稽古を始めよう。」


結局、冨岡の話は聞けないまま、翌日には風柱稽古に向かった。

柱稽古に参加した理由も、「炭治郎と話したから」の一点張りだ。

細かいことは教えてくれない。

やはり、近くに居すぎると見えなくなるのだろうか。

少し不服だ。



風柱邸では、不死川が隊士たちをのしていた。

さすがは無限打ち込み稽古。

ぼろぼろで失神している隊士がいる。

相手していた隊士を失神させた不死川が近づいてきた。

「お前、痣が出てンだろォ」

稽古の開始かと身構えたAに言う。

『え?』

Aは目を瞬かせた。

「隠してンのは師範の手前かァ?くだらねェこと気にすんじゃねぇ。」

『お館様が・・・』

お館様から聞いたのだろうか。

Aの言葉を遮って、いや、と頭を横に振った。

「怪我の治りが異様に早ぇ。甘露寺と時透と同じだ。馬鹿じゃねぇなら気づく。」

『そうでしたか・・・。』

「あの馬鹿は気づいちゃいねぇようだがなァ」

苛ついた様子で言った。

まさかとは思うが、あの馬鹿とは冨岡のことだろうか。

稽古での役割→←蛇柱の伊黒さん



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
104人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 愛され
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。