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地獄の柔軟 ページ19

「え!」

Aの言葉を聞いて、蜜璃は目を丸くした。

『あれ?勘違いでしょうか。』

「ううん!間違いないと思うわ!冨岡さん行ってくれたのね〜。」

蜜璃は目を輝かせた。

「Aちゃん、一緒に?」

『はい!』

「素敵ね!」

キュンキュンしちゃうわ!と頬に手を当てる蜜璃。

あの頃は恋柱がどんな人なのか、全く知らなかった。

思っていたよりずっと親しみやすい人だ。



蜜璃に手渡された練習着を身に纏い、稽古場へ急ぐA。

恋柱・甘露寺蜜璃の稽古は通称「地獄の柔軟」。

音楽に合わせて踊ったり、蜜璃についてもらって柔軟したりする。

その柔軟が非常に辛い。

頭を無にしていないと、痛みですぐに水柱邸に帰りたくなる。

(蜜璃さんが笑顔で応援してくれるのがまた・・・)

Aも女性だ。

他の隊士より柔軟性はあるはずなのだが。

柱稽古で一番辛いのはこれではないか、とAは遠い目になる。



三日ほどで合格を貰った。

稽古は大変だが、おやつのパンケーキはとてもおいしい。

後ろ髪を引かれる思いで甘露寺邸を後にした。



また三日間、冨岡との稽古だ。

冨岡の様子がどうにもおかしい。

そう気がついたのはその日の夜だった。


ずっとどこかそわそわしていて、まともに話したことと言えば炭治郎のことだけ。

炭治郎を助けたいきさつを教えてもらえたのは嬉しいが、それだけだ。

Aがいつものように話しても笑ってくれない。


『師範、何かありましたか?』

翌日、耐えかねたAが訊ねた。

「いや。」

『それなら、私が何かしてしまったでしょうか。』

「そんなことはない。」

『じゃあどうして・・・』

冨岡は目を丸くした。

無意識だったのだろうか。

『師範は何か変です。』

「・・・そうか。」

そう答えるのはいつも通り。

だがその前に一瞬、何かを堪えるような顔をした。

冨岡との話はそれきりで、三日間態度が変わることはなかった。



『それでは、伊黒さんの稽古に行ってきます。』

稽古場の冨岡に、Aは言った。

「A」

『はい。』

何か決意したように冨岡は顔を上げる。

「不死川の継子になるか。」

『へ?』

Aは目を瞬かせた。

『どうしてですか?私は・・・』

「考えておけ。」

背を向ける冨岡。

『私は師範がいいです。』

Aが声を掛けるも、微動だにしない。

「よく考えた方がいい。」

ぽつりと言ったのが聞こえた。

師範の過去の話→←天才的な焼き芋



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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時

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