緊急柱合会議 ページ14
「A!」
Aが声を掛けると、禰󠄀豆子は花が咲くような笑顔で振り向いた。
「おかえり」
『ただいま』
Aも笑って答える。
炭治郎が優しく咎めた。
「違うよ、禰󠄀豆子。Aには別に帰るところがあるんだ。」
細かいことを、と思う。
だが自然と頬が緩む。
その隣で、善逸がしょんぼり肩を落とした。
「Aちゃんまで・・・覚えてもらってないの、俺だけじゃん・・・」
さすがに可哀想になって来たA。
初めて会ったんでしょ?と励ました。
『善逸君もきっと仲良くなれるよ。』
「そっかなぁ」
単純なもので、善逸はニコニコし出す。
一方その頃。
しのぶは緊急柱合会議に呼び出され、産屋敷邸へと向かっていた。
通された部屋に柱たちが集まってくる。
それなりに和やかな雰囲気で会話が始まった。
上弦の鬼との遭遇を羨ましがる不死川。
蜜璃と時透の体を心配する伊黒。
柱が欠けなかったことを喜ぶ悲鳴嶼。
「Aはどうなんだァ?冨岡ァ」
不死川が冨岡に話を振った。
これは珍しい。
軽く驚きながらしのぶは見守った。
「大事ない。」
冨岡が簡潔に答えた。
(確かに、間違ってはいないのですけれど。)
やはり冨岡は冨岡だった。
苛立ちを隠さない不死川。
しのぶが助け船を出した。
幸い、ついさっき診察したところだ。
「怪我の経過は順調ですね。というか、今回のお二人も傷の治りが以上に早い。何があったんですか?」
「その件も含めてお館様からお話があるだろう。」
冨岡が締める。
(あなたのために話したのですよ?)
まあいい。Aの様子を知らせることはできた。
Aに免じて、しのぶは怒りを静める。
お館様こと産屋敷輝哉は病状が悪化したらしく、奥方のあまねが代理を務める。
会議は「痣」に関してのこと。
なるほど。
蜜璃と時透の傷の治りが早いのは、痣の影響があるのだろう。
今後調べてみなければわからないが・・・。
代償についても話される。
頭の片隅がちくりとうずいた。
(あら、ということは、Aも・・・)
冨岡の様子をうかがってみる。
感情の揺らぎは読み取れなかった。
あまねが退出する。
それとともに、冨岡も退出しようとした。
「おい待てェ」
背を向ける冨岡は不死川の制止にも振り返らない。
悲鳴嶼が纏めるが、冨岡は行ってしまった。
(冨岡さん・・・何を考えているのかしら?)
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ひかる(プロフ) - ミユさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) (5月7日 7時) (レス) @page42 id: c4c9e482b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 普段小説などで泣かないのですが、大泣きしました。この作品大好きです。 (5月6日 22時) (レス) @page45 id: 14f11f958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかる | 作成日時:2024年3月9日 9時