契約の穴 ページ10
「はぁ!?怖がらせるだ?」
「は、はい!」
ミノスの提案はアルトを怖がらせて契約を取り消させるというものだった
契約上契約した悪魔が契約者たる人間に危害を加える事はできないが、間接的なものなら免除される
毒を仕込もうが罠を仕掛けようがお咎めはなし
穴の多い主従契約の欠点の一つだ
だがそこまでやると個人の自分勝手な理由で殺してしまう事になる
それは大嫌いな人間共と同じでルシアは許せなかった
あくまでもルシアは相手の欲望に乗っかって相手が破滅する手伝いをしているに過ぎない
人助けなどが絡む願いはルシアは大抵断っている
それは彼女の望む顔ではなからだ
少なからず契約者以外に希望を与える場合がある上契約者も自己犠牲の強いタイプの場合全てにおいて自分の望みと真逆になる
己の欲望の為に誰かを自身の手で、たとえそれが間接的なものだったとしても殺したくない
不幸にしたくない
ルシアにはそんな確固たるポリシーがあり、こんなにも頭を悩ませていたのだ
「しかしどうやるんだ?私を一目見て笑ったやつだぞ?」
「それはルシア様の恐怖を知らないからです!いつも通りの残虐で冷酷で無慈悲なルシア様の姿をあの少年に見せてやれば恐れ慄き失禁して喜んで契約を解消する筈です!普段そんなルシア様を見てる僕が言うんですから間違いありません!」
「そ、そうか…」
あまりの熱心さに軽くドン引くルシアだったが考えてみればそういうやり方もあるのかと思い直した
(怖がらせる位なら低級の魔物がやってるほんのお遊び…それに危害は加えないのだから契約にも引っかからない…中々良い案かもしれん…)
「よし…ミノス、貴様の案を採用する。散々怖がらせて契約解消という救いの手を差し伸べてやれば喜んで縋りつくだろう…待ってろアルト…貴様の涙目をとくと拝んでやろうじゃないか…!クク…ハハハハ!」
ルシアは高笑いを上げた
そんな背後で契約解消できずに不機嫌で自分への風当たりが激しくなる事を避ける事が出来てミノスは心底安心していた
ーーーーー
『おかわり!』
「ば、バケモノだぁ!」
その数分後、風呂を浴び怪我を直し服も綺麗にしたアルトは本来の目的である食事に現在進行形でありついているのだが…
「アハハハ!スゴーイ!掃除機みたーい!」
「その小さな身体のどこに入ってるんだろう…」
部屋を往復できる程度の長さの長机の上には山のような皿が積み上げてありその全てをその小柄な幼体であるアルトが食べているのだ
さながらブラックホールと呼びたくなる胃袋の少年を前にミノスは半泣きで食事を運んでいた
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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