狂気 ページ30
スカルは不思議に思っていた
ルシアに命じられ念のため見張っておけと言われ、影の中からアルトを見張る
もし本当に死にそうなら助ける手はずになっている
(最悪最強の悪魔にして魔界の絶対なる支配者、誰もが彼女の前では恐れ跪き、愚か者は絶望を味わう…そんな姉貴が今やお守りをしているとは…世の中不思議なこともあるもんでぇ…)
関心する中考えにふける
村では虐げられる彼は純粋で彼女でもそのオーラにのまれてしまうのも無理はない
本当の彼女は弱く優しい
それでも凛として振る舞う彼女の心の隙間に彼はうまく入り込んで変えてしまったのだろう
とは言えそれが彼女にとって良いことなのかは別としてだ
彼女の立場からして今の状態は好ましくない
こんなことが知れれば弱味を握られ今の魔界の情勢に関わる
それは彼女も多くの魔界の民も好まないだろう
スカルはそう結論付けた
ふと、外に目を向ける
(今のところ変わったところはないな…)
普段なら怒号が響きアルトは痛ぶられるのだが今日は誰もアルトを虐めない
不気味なほどに
(なんだなんだ?どういう風のふきまわしでぇ…?)
村人の表情は揃って笑顔
(何か祭りでもあるんか?)
スカルは不思議に思いながらも監視を続けた
この時スカルは察するべきだったのだ
村人たちの笑顔の裏に隠された狂気を
ーーーーー
夜
何事もなく一日を終えたアルトは一人ベッドに横になる
今日は村の人が夜更かしして何かをやるようでどうにも抜け出すことは叶わなそうだった
空に上る月は柔らかな光で夜を照らす
しかし今日は雲が多く、見え隠れしている
アルトはルシアと遊べないことを嘆きながら眠ろうとした
しかし
「急げ!死体処理には時間ががかかる!」
「早く森へつれていけ!」
「さぁこい!」
「!?」
髪を乱暴に捕まれアルトは外へと連れ出された
声のでないアルトは助けを呼ぶことも出来ずただただ無駄な抵抗をするしかなかった
森に連れ出されたアルトは即席で作った小屋に投げ込まれた
中は光ひとつ指さず真っ暗で何も見えない
「???」
状況の把握できないアルトに男の村人数人は嫌な笑みを浮かべている
「お前にはうんざりしていたんだ、だが漸くお前も役に立つときが来たぜ?」
「遠方のお偉いさんがお前を欲しがってンだ。しかも死体で欲しいんだそうだ。」
「てな訳でお前には死んでもらう。悪く思うなよ?」
「まぁでも死体の状態はなんでもいいらしい。だから…鬱憤ばらしにつきあってくれよなぁ?」
「っ!」
男たちの手には棍棒が握られていた
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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