責務 ページ29
ルシアは悩んでいた
昨日ミノスに言われたこと
一度見捨てると言う選択肢
それらを実行しなくてはならない己の立場
(とは言えはたしてよいのだろうか…それはあの忌々しい人間共と同じなのではないのだろうか…はたして何が正解なのだろうか…万が一あの村人たちがアルトの命に関わるレベルの行為を行った場合それは助けなくてはならない。しかしそんなことをしていてはいつまでたってもアルトは引っ付くだろう。今までだって同じような扱いを受けていたのだから…そう易々とはいかないだろう。)
ルシアはそう思いつつ徐にナプキンを手に取った
「おい、口許汚れてるぞ。」
ケチャップまみれのアルトの口許を拭くルシア
そこでハッとした
(はっ!またやってしまった!)
アルトはやはりとろけてしまいそうなニヘラ顔でルシアをみていた
ここ最近自然とアルトを助けるようになってしまった自分をルシアは殴りたくなった
困っていれば手助けしてしまうし、そうでなくとも自然と身の回りの世話までやるようになってしまった
これでは自分にとってのミノス同然である
これも主従契約の効果の一貫だったろうか
いや、そうでなくては自分がこんなことをするはずがない
そうルシアは言い聞かせる
(今日こそは見捨てる!そうだ!全ては己の立場と威厳のため!こんな召使い紛いの奴が魔界の支配者なんてなんの冗談だ!)
ルシアは決意を新たにして影に潜む
作戦はこうだ
寝る
寝ていれば体が勝手に助けてしまうこともない
見ていなければ何をするでもない
ただただ外の状況は外の状況は
こちらには関係ない
己を律する為にもこうしなければならない
もどかしい中決意を固めるルシア
(許せアルト…いや、何で謝る必要がある?そもそもアイツは望まぬ契約者で目の上のたんこぶではないか…これでいい…これで…いいんだ…)
ルシアは己に言い聞かせながら目を閉じた
それが己の嫌う人間のとる行動の1つだと知りながらも己は責務を果たさなくてはならない
唇を噛みしめ血が出る
眉間にこれでもかとシワが寄る
しかしそれが後に後悔を招くとはこのとき思いもしなかったのである
ーーーーー
「おい、準備できたか?」
「あぁ。お上には失踪でかたをつければいい。」
「これで漸くあの餓鬼ともおさらばだ。」
「全ては手はず通りに。今夜、あの餓鬼を…殺す。」
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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